パナソニックやソニー、シャープといった国内大手家電メーカーが2011年度決算で軒並み巨額赤字を計上することから、“家電大国・ニッポン”が大きく揺らいでいる…そんな論調がテレビや新聞などのメディアから生まれている。

 確かに世界市場ではサムスン電子、LGエレクトロニクスの韓国勢に後塵を拝している日本メーカーだが、デジタルメディア評論家の麻倉怜士氏は「ものづくりでは決して韓国メーカーに負けていない」と語る。

 そこで今回からスタートする「麻倉怜士の“家電大国”日本に喝!」では、メディアの報道だけではなかなか見えてこない日本メーカーの知られざる姿に麻倉氏がスポットを当てていく。「ジャパン・アズ・ナンバーワン」に再度なるために必要なこと、日本メーカーに足りないことは何なのか──。

 連載第1回目は、2012年1月に開催された「International CES 2012」の報道ではなかなか垣間見えてこなかった、日韓注目家電メーカーの真の姿に迫っていく。

麻倉怜士(あさくら・れいじ) デジタルメディア評論家、日本画質学会副会長、津田塾大学講師(音楽)

 毎年初春には、米ラスベガスで開催される「CES(Consumer Electronics Show)」の話題がテレビや新聞などを賑わしています。今回のCESでは、日韓の家電メーカーの力関係に主眼が置かれていたように思います。「スマートテレビ」が主役になるとか、日本の家電産業はどうなるのかといった話題が、CESをきっかけに報道されてきました。

 CESは1967年から毎年開催されている展示会ですが、当初はメーカーがディーラーとの間で商談を行う「トレードショー」でした。それが20年くらい前から徐々に「トレンドショー」の色彩が濃くなってきました。アップルを除く世界各国の家電メーカーやIT企業などの“トレンドセッター”が集まり、各社の考えや計画を述べて1年のトレンドを提案する場なのです。

 私はCESには20数回訪れています。最近はベルリンで毎年秋に開催される「IFA」にも通い始めました。CESで発表されたものには本物のトレンドもあるのですが、派手に誇張して無理矢理見せている偽トレンドもあるのです。韓国メーカーなどは派手にプレゼンするのでメディアが取り上げることも多く、その結果無理矢理にもトレンドが仕立てられることもあります。

 そういう意味では、CESだけでなく、IFAを併せて見ることが実に重要なのです。IFAは毎年9月に開催されており、欧米ではクリスマス商戦直前ということもあって具体的な新製品が続々と登場します。CESのトレンドショーとは違う「製品ショー」なので、CESで今後のトレンドと言われたものが果たして本物なのか、見極めることができますね。

 今回のCESでは韓国メーカーのサムスン電子とLGエレクトロニクスが発表した55インチ有機ELテレビが大きな話題となりました。これらが本当に定着するかどうかは秋まで見ないとわからないのですが、事前漏洩も含めプレゼンテーションのうまさもあって世界各国の報道陣に注目されました。

 ただ、日本でのCESの報道などを見ると、何十年もCESに通ってきている私の目からはひじょうな違和感を禁じ得ません。そこで今回は、「これが本当のCESだ」という話をしたいと思います。