“男の着物ブーム”の火付け役、泉ニ弘明さんが教える

 「普段着物を着ない人には、男性の着物イコール『黒紋付きの羽織袴』のイメージが強いかもしれません。ただ、そうしたフォーマル着は男の着物の一側面でしかない。今人気があるのは、礼装とは一線を画す、現代の街並みに合ったおしゃれな街着です」と話すのは、呉服店「銀座もとじ」社長の泉二弘明さん。

 着物には、まとう人を一段高いステージに引き上げる力がある。「着物を着ているだけで、道を歩けば羨望の視線を浴び、レストランではいい席に案内される。ワードローブに取り入れない手はありません」(泉二さん)。

 とはいえ、着つけぬ身には、正直、和装は分かりにくい。そういう人は、普段から慣れ親しんでいるスーツ姿と比較しながら考えると、着物や帯などアイテムごとの役割が理解しやすいという。

和装はスーツに例えると分かりやすい
「半襟」「羽織紐」など聞き慣れないアイテムが多い和装。普段から着慣れたスーツスタイルに例えて考えると、個別の役割を理解しやすい。着物と羽織はジャケットとパンツ、帯がベルト、足袋と草履が靴に当たると分かれば、和装がぐんと身近な存在になるはずだ。
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 着物を着て、帯を締めた状態を「着流し」と呼ぶ。これはいわば、シャツとパンツだけのラフな「ノージャケット」スタイル。ジャケットに当たるのが羽織で、着物に重ねると、スーツ着用の扱いに格上げされる。羽織をコートと勘違いする人もいるが、あくまでジャケットなので、外出先の室内でも着たままで構わない。

 長じゅばんに付け、着物の襟元からのぞかせる半襟と、羽織に装着する羽織紐は、ネクタイのような“差し色”アイテム。「特に重要なのが顔の真下に来る半襟。ネクタイ同様、選ぶ色次第で表情を優しく見せたり、引き締めたりする効果があります」(泉二さん)。

 帯はベルトに相当。「着物と同系色の帯なら、全体がひとつながりとなり、小柄な人はスラリと見える。反対に大柄な人は着物と異なる色の帯を締めれば、間延びした印象になりません」(泉二さん)。

 足袋と草履は共に靴の役目を果たす。白足袋は礼装用で、カジュアルな着物には色足袋のほうが合う。初心者は着物と同系色を選ぶのが無難。草履も最初の一足は着物に近い色がいい。和の履物には下駄もあるが、「素足でも履ける下駄はサンダルのようなもの。足袋着用が必須の着物に適した履物はやはり草履」(泉二さん)となる。