人間誰しも美しく生活したいと思っている。それは見た目だけじゃない。中身から美しくということだ。
 それはクルマも同じである。今どきクルマを実用性だけで買う人はいない。だったらトラックやバンでいい。そうではなく、乗る人の身体はもちろん、時には頭や心まで気持ち良くしてくれるから買うのである。それはスタイリングであり、走りであり、質感であり、ブランド性であり、知的興奮を誘うエピソードである。クルマはある意味、五感で味わうプロダクトだ。だから楽しくも難しいのである。
 というわけでこの“ビューティフルカー”では私、小沢が美しさや知的エピソードを中心にクルマを語っていこうと思う。

【コンセプト】まだ先があったトヨタ流ハイブリッド

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 駐車場で「アクア」を少しだけ動かそうとして、イグニッションを入れてビックリした。

「これってEV?」

 一瞬、そう思わされたのである。というのも、その時アクアはしばらく止めっぱなしで、直前の長時間走行もなく、走行用バッテリーの充電度合いはあまり良好ではなかったはず。

 そういう時、大抵のHV(ハイブリッドカー)はいきなりエンジンがかかる。走行用バッテリーが充電を求めるからだ。しかも、その日は雪もチラつく寒い日。エアコン側からの要請で、エンジンがかかる場合も少なくない。

 ところがアクアはEVのように音もなく動き出し、その後も感覚的にはアクセルを3分の1以上開くまでエンジンが再始動しなかった。いろんな意味で予想を裏切られたのだ、このクルマには。