より一層の改善が求められるアプリマーケット

 とはいえ、アプリビジネスに関する課題がまだまだ多いのも事実だ。そして、大きな課題の多くはアプリマーケットの問題へと結びつく。

 マーケットからアプリを探すのが難しいというのは、かねてより言われている課題だ。マーケット内には、世界各国から集まった数十万もアプリがあるのだから、その中から自分の国に合った良質なアプリを自力で見つけるのがいかに困難かというのは想像に難くない。

 最近では、AppStoreが日本向けのアプリを前面に押し出すようになるなど改善が図られているほか、良質なアプリを厳選して紹介するWebサイトや書籍の増加など、マーケット外からの解消手段も多く提供されるようにはなった。だが、アプリの利用に熱心でないユーザーが、アプリマーケットをするには敷居が高いことに変わりはなく、ランキングや口コミに依存し、定番アプリに人気が集まる傾向は変わっていない。より一層の改善が求められる。

 アプリを利用したユーザーがマーケット上に記述する“評価コメント”の欄も、マーケット側の解消が求められる要素の1つだ。アプリに対するユーザーの“捨て台詞”のような批判コメントが大量に記述される一方、アプリ制作者がそれに対応する場は、非常に限られている。また、コミュニケーション系アプリの評価コメント欄に自身のIDをさらし、出会い系サイトのように利用するケースが少なからず見られるなど、新たな問題も浮かび上がっている。アプリマーケット、そして、アプリ自体の健全性を高める上でも、ユーザーコメントの徹底した管理体制が望まれるだろう。

 スマートフォンのアプリと、それを配信するアプリマーケットは急速な盛り上がりを見せているが、一方で以前取り上げたセキュリティ的側面や、今回取り上げたビジネス的側面など、さまざまな問題を生み出しているのも事実だ。より一層多くのユーザーがスマートフォンを利用するようになる今後、アプリマーケットにも多くの改善が求められているといえよう。

AppStoreで日本人向けアプリの積極的なプッシュがなされるなど改善の傾向は見えるが、地域に根差したアプリの探しにくさは、依然としてアプリマーケットの大きな課題だ
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著 者

佐野 正弘(さの まさひろ)

 福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。