全く盛り上がらなかったアプリビジネス

 スマートフォンのアプリと、その利用が大きな盛り上がりを見せる一方、低迷し続けていたのが、アプリの販売を商売としている企業である。アプリの販売スタイルは、現在のところ、1本当たりいくらで販売する“ダウンロード課金”が一般的。だがこの仕組みによるビジネスは、今なお相当厳しい。

 スマートフォンのアプリマーケットは、自由度が高い分、携帯電話と比べ、審査が比較的緩く、法人だけでなく個人でも配信ができる。だがそれだけにライバルも多く、早い段階で過当競争に陥り、アプリの低価格化、ひいては無料化が当たり前のものとなってしまっている。

 現在、アプリ・マーケットには、多くの無料アプリが氾濫しており、無料だけでもそこそこ満足できるものが手に入る。また有料アプリも数十円から数百円程度のものが大半を占めている。こうした状況から、缶ジュース1、2本程度の価格のアプリでも購入に躊躇してしまう人や、1000円を超えるアプリなどもってのほかと感じる人も少なくないようだ。

 クレジットカードだけでなく、プリペイドカードや携帯電話キャリアの電話代と請求できる課金システムなども提供されており、課金環境については改善が進んでいる。だが「アプリはタダ」という意識が早いうちから根付いてしまったことが、アプリを販売して利益を得るビジネスを困難なものにしてしまっているようだ。

 アプリビジネスの数少ない成功例としては、総ダウンロード数が5億を超えるゲーム「Angry Birds」が挙げられるが、このアプリの価格も日本円にして85円程度(しかも有料なのはiOS向けのみで、Android版は無料で、広告による収益のみ)。全世界で億単位のダウンロード数を稼がなければヒットが生まれないビジネスが、果たして効率的かどうかと考えると疑問だ。

AppStore上で販売されている、人気ゲームの「Angry Birds」。価格は日本円でたった85円だ
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