SONYブランドの元気のなさは目を覆いたくなりますが、その昔SONYが元気だったころ、米国の子供たちの間でこんな話がまことしやかに語られていました。

 「SONYはどこの国の生まれか知っている?」「米国生まれだよ。SONYってSound Of New Yorkから来ているんだよ」

 ああ、あのころのSONYはそこまで米国社会に入り込んでいたんだ、と複雑な気持ちになります。もちろんこの話は誤りですが、ファン顧客が自分が贔屓するブランドのネーミングについて正誤を問わず語ってくれ始めたら、それは相当強いブランドになったと言っていいでしょう。

 今回はちょっと地味なテーマですが、ブランドのネーミングについて考えてみましょう。

マジックインキのメーカー名を知っていますか?

 日本人でマジックインキを知らない人はいないと思います。誰もが、小学校の工作で、会社でのブレーンストーミングで使ったという経験は、あの独特のアルコールっぽい臭いと一緒になって忘れようにも忘れようがないのではないでしょうか。ところが、それを誰が作っているのか、ということになるとそれを知る人はほとんどいません。箱を見ても、「?」のロゴマークがあるだけで製造販売者の名前は一切書いてありません。マジックなのだから「?」だけよ、と正直者のユーザーをあざ笑っているようにさえ見えます。

 調べていくと、それは寺西化学工業株式会社という大阪の会社の製品であることが分かります。私が小さいころ写生で親しんだ「ギターペイント」も、この会社の製品であることを知って驚きました。マジックインキはとても言いやすく、誰でも「マジックどこにある?」とか「そこのマジック、取って」と言った記憶は数え切れないはずですね。もしこれが「寺西のフェルトペン」とかいう名前だったら同じように親しまれていたでしょうか。おそらくその答えは否だったと思います。