人間誰しも美しく生活したいと思っている。それは見た目だけじゃない。中身から美しくということだ。
 それはクルマも同じである。今どきクルマを実用性だけで買う人はいない。だったらトラックやバンでいい。そうではなく、乗る人の身体はもちろん、時には頭や心まで気持ち良くしてくれるから買うのである。それはスタイリングであり、走りであり、質感であり、ブランド性であり、知的興奮を誘うエピソードである。クルマはある意味、五感で味わうプロダクトだ。だから楽しくも難しいのである。
 というわけでこの“ビューティフルカー”では私、小沢が美しさや知的エピソードを中心にクルマを語っていこうと思う。

【コンセプト】バカ売れ間違いなし“ハイブリッドミニバン”の攻防

ホンダ「フリード ハイブリッド」
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「(トヨタさんには)おそらく作れないとは思っていますけど」

 やや慎重な口調で、開発担当エンジニアは言い切った。

 先日出たばかりのホンダの新しいハイブリッドカー、「フリードハイブリッド」&「フリードスパイクハイブリッド」。いわゆる5ナンバーのホンダ流ジャストサイズミニバンのマイナーチェンジであり、ハイブリッド仕様の車種追加に過ぎない。だが、そこにはホンダの意地が詰まっている。それは「トヨタには絶対に作れないハイブリッドカー」でもあるからだ。

 試乗会でもエンジニアは折に触れ「スペースは絶対犠牲にしない」とか「バッテリーをあんなところには…」と随所にトヨタに対する挑戦というか意地を覗かせた。

 しかもこのミニバン・ハイブリッドというのは、いわゆるジャンル的には日本クルマ業界の残された数少ない未開拓地である。

 なぜならいま日本で売れているクルマはおおざっぱに3つあって、1つは「ハイブリッド」、1つは「ミニバン」、1つは「軽自動車」。そのうちどれかの要素が重なれば絶対的に売れることはわかっている。

 ところが現状、ミニバン・ハイブリッドはほぼないに等しい。確かにトヨタがミディアムミニバンの「エスティマ」にハイブリッド仕様を設定し、先日ビッグミニバンの「アルファード」&「ヴェルファイア」にも同じシステムのハイブリッド仕様を追加したが、これだけエコが叫ばれている今も、シリーズ全体の約2割しか占めていない。