「おくだけ充電」に対応するNTTドコモのオプション品「ワイヤレスチャージャー 01」。発売済みのスマートフォンでは「AQUOS PHONE f SH\-13C」が対応している(画像クリックで拡大)

 NTTドコモが発売するスマートフォンには「おくだけ充電」に対応する機種がある。おくだけ充電とは、対応充電器の上に置くだけで、充電池や充電池を搭載した機器を充電できる機能のこと。充電用コネクターのカバーを開いて、充電用のケーブルを取り付ける必要はない。

 NTTドコモのおくだけ充電は、ワイヤレス給電(非接触充電)の規格「Qi」(チー)に準拠している。これまでワイヤレス給電は各メーカーが独自に開発をしていて、機器間の互換性がなかった。そこでワイヤレス給電技術の標準化団体WPC(Wireless Power Consortium)が策定した国際標準規格がQiだ。

 現在策定されているのは送電電力5W以下の低電力向けの規格で、主に携帯電話、スマートフォン、デジタルカメラといったモバイル機器での利用を想定している。おくだけ充電に対応するスマートフォンのほかに、パナソニックや日立マクセルからQi対応の充電器や充電池が発売されている。こうしたQiに準拠した機器にはQiのロゴマークがついている。LTEに対応するNTTドコモのXi(クロッシィ)スマートフォンには今のところ、おくだけ充電の対応機種はないが、Qiが普及すれば登場してくる可能性がある。

 ワイヤレス給電にもいくつかの方式があるが、Qiで採用されているのは電磁誘導を利用したものだ。電磁誘導とは、磁場が変動する場所に電気を通す物体を置くと、そこに電力が生じる現象のこと。例えば隣り合った2つのコイルがあるとき、片方のコイルに電流を流すと磁束が発生し、それによりもう片方のコイルにも電流が発生する。こうした現象のことを指す。

 Qiの場合、対応充電器と対応機器(充電池や携帯電話本体など)の両方にコイルが入っていて、充電器のコイルに電流が流れると機器側のコイルにも電流が発生し、それによって充電する。充電エリアの中ならどこに機器を置いても充電できるようになっている。間に数mm程度の紙などを挟んでも充電できるが、金属製のものを挟むと発火や発熱などのおそれがあるので注意が必要だ。

 こうしたワイヤレス給電のメリットは、まず充電のために電源コネクターを抜き差しする必要がないことだ。これは何度もコネクターカバーを開け閉めしてカバーが痛むのを防ぐのにも役立つ。例えば防水機能付き携帯電話なら、コネクターカバーの防水用パッキンが痛んで密閉性が低下するのを防ぐのに役立つ。

 NTTドコモのおくだけ充電対応機種を見ると、主に女性ユーザーを対象にした機種が多い。女性ユーザーの場合、爪を伸ばしていると充電用コネクターのカバーが外しにくいことがある。こうした場合も置くだけで充電できるこの機能は便利だ。このほかNTTドコモではANA国内線ラウンジや喫茶店のプロントなどに対応充電器の設置を進めており、こうした場所では充電用ケーブルを持ち歩かなくても充電できる。

(文/湯浅英夫)