「ドライ テーラージャケット」(4万950円)。小林氏は「今回のは本当に自信作。これなら自転車にも乗れるし、ビジネスシーンでも使える」。ちなみにこの生地は既存のもので、見つけることができた
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「ドライメッシュ加工をマウンテンパーカーにするのであれば、スーツにしてあってもおかしくないはず」(小林氏)
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 特徴的なのが、ナリフリのアパレルに共通する通気性や速乾性の高さだ。通気性を高めるだけなら例えば空気穴をあければいいのかもしれない。しかし、本当の意味での通気性は、生地そのものにあるはずだ。そう考えて既存の生地を探してみると、なかなか要求にかなうものに出会えない。「だから、通気性のいい生地そのものを作った」(小林氏)。生地がよければ、製品も良くなる。ないのなら、作ればいい。よってナリフリの生地は現状、約7割がオリジナルの生地だ。

 「本当は既存の生地があるならそれを使いたい。オリジナルの生地は、小ロットでの注文が難しい。ナリフリで多く使用しているナイロンポリエステルなどは、特にロットが大きくなり、リスクが高まる」(小林氏)。だからこれまでは、大手スポーツメーカーくらいしかオリジナルの生地を用意できなかったはずだと話す。それでも、ナリフリの企画が世の中から求められるようになることを確信し、オリジナル生地の生産に踏み切った。

 単なる機能性を求めるのではなく、ファッション性を高めるために、自転車アパレルでありながら、ジャケット、白いシャツ、スラックスもいち早く企画した。

 実際に、ナリフリのジャケットやスラックス、シャツは、自転車用のデザインにはなっていない。実に、ちゃんとしたスーツだ。それでいて立体的で、なおかつさわり心地もよく、袖を通したときの動きやすさが抜群だ。その理由はパターンが立体的に作られていて、生地自体が伸縮性に富むから。縫製も細やかだ。

 一番のこだわりは佇まい。ポリエステルだが高そうに見える。襟も着崩れたりしない。「ネクタイをして革靴を履いて崩さないでかっちり着れるスーツ」(小林氏)にこだわっている。だから、価格帯はジャケットだけで4万~5万程度となる。「シンプルな見た目のスーツほど、その良さが分かりにくいものはない」と小林氏は言うが、袖を通せばその理由は分かってくるはずだと自信も持つ。そのこだわりに注目したビジネスパーソンが、ナリフリのショップに出向いたり、あるいはオンラインショップで買い求める動きが増加。「実は、30代後半から40代の客層が増加したことで、サイズを増やした」(小林氏)という。

 ただ、小林氏は、自分たちが作っているアパレルを、他社が真似をして作ることは簡単だとも話す。「例えば大手メーカーが真似して安く作ってくれるのならば、それでもいいとさえ思う。ただ、真似はあくまでも真似。出てきた商品に似たものは作れても、なぜ作るのか、何を着地点に作るのか、1つ1つの商品にストーリー性を持たせなければ、その先の商品は作れないと思っている。あくまでもリアリティーがあるかないかが勝負になる。結局、最終着地点は人の役に立つ洋服を作ることだと思う。この洋服があってよかったと言われるような、自転車に乗っていて良かったと言われるような環境を作るのが最終着地点と今は考えている」(小林氏)。

 自転車アパレル業界は、徐々に広がりを見せている。その中で小規模でハイクオリティーなアパレルを展開するナリフリが、今後どのような広がりを見せていくのか注目したい。

もともとスラックスから始めただけあって、売れ筋商品。「ドライ スラックス」(1万8900円)。ファスナーにもこだわりがあり軽量でスムーズ
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「バイオカーゴ スリムフィット」(1万8000円)はとにかくよく売れる。足元に裾バンドが最初からついてる。また古着のように見せるあたりをわざわざつけているそうだ
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(文/山田真弓=日経トレンディネット)