――近年はスマートフォンで遊ばれるカジュアルゲームに、コンソールゲームを凌駕する勢いを感じます。スマートフォンは、PS Vitaゲームのライバルではないんでしょうか?

河野:スマートフォンは実用性が軸。PS Vitaはあくまでゲーム機に軸足があり、そこに便利なツールが乗り、カジュアルなゲームも楽しめる付加価値が付いたものです。多少はオーバーラップする部分もありますが、本質や立ち位置は全く違うと考えます。

 ですから私は、今スマートフォンを持っている人が、同時にPS Vitaを持ち歩くシーンは不思議じゃないと思いますし、PS Vitaを買うかスマートフォンを買うかで迷う状況も想定していません。カジュアルなゲームだけで十分と思う人は、もしかしたらスマートフォンだけで満足かもしれません。でも、ストーリー性のある非常に完成度の高いゲームをやりたい人ならどうか。私たちはそこでPS Vitaを選んでほしい。そのためのゲーム機としての完成度。でないと、ますます曖昧な存在に見えてしまいますからね。

――ソーシャルゲームの隆盛をどう思われますか?

河野:私自身もソーシャルゲームをやりますし、すごく面白いと思っていますよ。気楽ですし、短い時間で心理的なハードルも低く遊べますからね。ただ、このままゲーム業界が完全にソーシャル、カジュアル化してしまうのは産業としていいのかという疑問があります。

 映画産業と同じで、ゲーム業界の発展のためには、尊敬されるクリエーター、プロデューサー、ディレクターがいて、裏方の人々を含めて広い裾野が必要です。それを形作るためには、カジュアルゲーム一辺倒では難しいでしょう。ソーシャルゲームに特化するということは、効率、ビジネスモデル最優先になるということです。カジュアルなソーシャルゲームは一分野として必要ですが、プラットフォームを持っている側としては、トップノッチでちゃんとリーダーシップを取っていきたいですよね。

「みんなのGOLF 6」(SCE/PS Vitaカード版:4980円、ダウンロード版:3900円/12月17日発売予定)PlayStationを代表するゴルフゲーム。通信対戦機能が今まで以上に強化され、タッチ操作やカメラを使ったPS Vitaならではの機能も用意される (C)Sony Computer Entertainment Inc.
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――同時発売予定のSCEタイトルには、既存大作シリーズの続編「みんなのGOLF6」も、「勇者のきろく(仮)」のような新たなSNSツール的タイトルも両方用意されています。今後は、さらにソーシャル性を高めたタイトルもPS Vitaには必要だということですか。

河野:そうですね。PS VitaにはこれまでPlayStationフォーマットでゲームを出していないソーシャルゲーム、カジュアルゲームに特化したメーカーさんも参入してくださっています。マーベラスAQLさんの「ブラウザ三国志 ネクスト」などは、ゲームを無料でダウンロードしてアイテム課金でやっていく、いわゆるソーシャルゲームのビジネスモデルで成立するタイトルです。

 既存の大手メーカーさんも、PS Vitaにはコアなゲームとカジュアルなゲーム、両方を提供していくことになるでしょう。今までのPlayStationは、“PlayStationらしさ”を守ろうとしてきました。でも今は、できるだけ幅広いメーカーさんが参入しやすいオープンな体制にしています。PS Vitaが3Gを積み、ネットワークを積むとなれば、ビジネスモデルも必然的に従来と変えていかなければならないですからね。

――具体的には?

河野:これまでは投資と回収のパターンの少なかったので、PS2、PS3と進化するなかで開発費は非常に高騰し、どこまでお金を掛けていいのか心配がありました。ハイリスク、ハイリターンなビジネスモデルもワクワクしますが、全部が全部それではメーカーさんも参入しにくいと思います。

 PS Vitaはカジュアルゲーム方面にも門戸を広げていますので、既存コンテンツのリソース活用も可能です。その意味で、ビジネスモデルのパターンは格段に増えていると思います。弊社としては、気合いが入ったタイトルもちゃんと売れてほしいし、カジュアルゲームも売れてほしい。ハードのコンセプトからいえば、カジュアルゲーム一辺倒にはならないと予想していますし、幅広いラインアップがそろうように、我々も努力したいですよね。