ゲームにおける“ソーシャル”の行方を占う上で、12月17日にソニー・コンピュータエンタテインメントから発売される新携帯ゲーム機――PlayStation Vita(以下、PS Vita)は、重要な位置づけを担うマシンと言えるだろう。Wi-Fiだけでなく、携帯ゲーム機として初めて3G回線に対応したPS Vitaは、独自のSNS機能だけでなく、TwitterやFacebookなどの既存SNSアプリケーションも実装。発売予定作品にも、今までのコンソールゲームにはない、“ソーシャルゲーム”のビジネスモデルを採用したタイトルや、ソーシャルゲームライクなソフトが多数お目見えしている。PS Vitaは、コンソールゲームとソーシャルゲームの橋渡しとなり、新しいゲームビジネスを作り上げる起爆剤なのか? 今後のプロモーション展開、PSPビジネスの可能性も含め、発売を目前に控えたPS Vitaについて、ソニー・コンピュータエンタテインメント ジャパン プレジデント 河野弘氏に話を聞いた。

――PlayStation Vitaは、従来の携帯ゲーム機とはまた違う、常時接続のネットを介したソーシャルな楽しみを内包しています。発売メーカーとしてはコンセプトをどう捉えていますか?

河野弘氏(以下、河野):社内でPS Vitaを紹介するときには「究極のポータブルエンターテインメントシステム」という言い方をしています。そこでは、あえてゲーム機とは言っていません。いつでも持ち歩き、自分のバディとなるマシン。そうなるとソーシャルな要素、コミュニケーション要素はある意味必須です。

ソニー・コンピュータエンタテインメント ジャパン プレジデントの河野弘氏

 ただし、軸をどこに据えるかは問題です。電話のできないスマートフォンなのかといえば、そうではない。我々が送り出すものは、まず“ゲーム機”であることが最重要。ゲーム機として妥協のない性能を「ここまでやるのか」と思うくらいしっかり持ち、そこにソーシャルやコミュニケーション要素、映像や音楽がどう絡むと面白いのかを考えよう、というのがPS Vitaなんです。

――確かにゲームハードとしての性能は、PlayStation3と匹敵するスペックです。

河野:それだけに、「PS3とPS Vitaが競合するのでは?」という声も確かにあるんです。でも、それも違います。ユーザーを食い合うのではなく家ではPS3、外ではPS Vita、というようにデータを共有しながら共存していこう、というのがゲーム機としてのコンセプトでもあります。

 実際、クリエーターさんは「PS3とPS Vitaを両方持ってる前提でゲームを作ってみたくなる」と言っている。KONAMIの小島秀夫さん(※ゲーム監督・プロデューサー/代表作『メタルギアソリッド』シリーズ他)などは、まさにそうです。とはいえ、今までのようなスタンドアローンで完結する携帯ゲーム機でいいのかというと、そうではないでしょうと。今のゲームの遊ばれ方、遊ぶ方のプロファイル、プレースタイルを考えると、もっと広がりがあるべきです。

――そのために必要なのがソーシャル要素、なのでしょうか?

河野:ソーシャルとは何かという疑問もあることはあるんですが、ゲームを面白くするには、いわゆるソーシャル要素は必要だと思っています。ゲームユーザーのコミュニティーという意味で。ゲームを遊びながら仲間ができるとか、そういう要素をゲームそのもののコンセプトとして入れていけないか――そこをサポートすることがPS Vitaのソーシャル要素です。それによってゲームを遊ぶ人のパイを広げることが、PS Vitaの役割の一つではないかと思っています。

 ゲームハードの在り方で言えば、三角形のトップコアにあるのがPS3。PS3とオーバーラップする形でPS Vitaがその下にあり、スマートフォンでゲームを遊んでいるようなカジュアルな層がその下に広がっている。PS Vitaは、カジュアル層とのブリッジとなってゲームの門戸を広げていくマシン。そういう位置づけと考えています。