染谷は友達に誘われ、7歳から子役として活動。09年に公開された初主演映画『パンドラの匣』では結核療養所で暮らす純情な青年を淡々と演じた。かと思うと、『東京島』(10年)は劇中で預言のような言葉を発する不気味な青年、今年のNHK大河ドラマ『江』では凛とした美貌の武士を演じるなど、幅広い役柄を独自の色に染め上げる若手だ。その静かな存在感は見る人の心を引きつける。

 「役づくりは一度資料などをじっくり読んで勉強してから、すべて捨てます。そういう知識は演じるうちに無意識に出てくるくらいが僕にはちょうどいいかなって」

 落ち着いた口調で話す、知的さと、気さくさを併せ持つ19歳。プライベートでも映画をこよなく愛し、17歳のときに自主映画を撮り始めた。今年主演した『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』のスピンオフムービーで“商業映画監督デビュー”したが、「すごく大変だったので、監督という職業を選ぼうとは思わないです」と笑う。

 2人の受賞により、『ヒミズ』は当初の予定より早く、来年1月14日の公開が決定。その1週間後に3D上映される大作『ALWAYS 三丁目の夕日’64』にも出演している。1月28日には出演したNHKドラマの映画化『テンペスト3D』も公開。本人は「飽きられないかな」と心配するが、来年正月は、好対照な三つの役で個性的な存在感を見せてくれそうだ。

ヒミズ 12年1月14日公開
暴力的なまでに純粋な少年を熱演
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15歳の住田祐一(染谷)と同じクラスの茶沢景子(二階堂ふみ)。住田の夢は普通に大人になること。しかし、ある事件をきっかけに普通の人生からかけ離れていく。茶沢は彼を引きとめようと奮闘するが(配給ギャガ/新宿バルト9ほか全国公開) (C)2011「ヒミズ」フィルムパートナーズ
ブレイク予想
ARATAや松山ケンイチのように、繊細な表情の内側に爆発力を秘めて豹変できる俳優に成長しそう。ワルを演じても演技に品があり、櫻井翔のような知性派の一面も見せられるはず。

(文/高倉 文紀、写真/金井 尭子、ヘアメイク/はらまみ、スタイリスト/森山優花)


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