ソーシャルゲーム市場が急速に伸びるなか、これまでコンソールゲームを作ってきた大手ゲームメーカーも、国内ゲーム市場の低迷から、生き残りをかけてソーシャルゲームに取り組み出している。そこで連載第2回目は、「ドラゴンクエスト」「ファイナルファンタジー」など大作シリーズでおなじみ、日本を代表するゲームメーカーであるスクウェア・エニックスのプロデューサーである安藤武博氏にソーシャルゲームへの取り組みを聞いた。旧エニックスでの各種家庭用ゲーム開発を経て、同社ではいち早くスマートフォンアプリ、ソーシャルゲーム開発に取り組み、現在も中核となってプロジェクトを牽引(けんいん)する安藤氏が見る、ソーシャルゲームの現状と今後の展開は?

――最近のソーシャルゲームの隆盛をコンソールゲームに関わる人はどう見ていますか?

安藤武博氏(以下、安藤):「僕はそうは思いませんが、まずコンソールゲームばかり遊んでいる人は嫌がってますよね。僕らが愛してきたゲームが、コンテンツへの愛情がないサービス事業者によって駆逐されるのではないかと。10年前にオンラインゲームが出てきたときと同じです。周囲も面白く煽っていますが、僕はコンソールとソーシャルは共存していくものと思っています。どっちが勝つという構造にはならないでしょう」

――ソーシャルゲームの魅力とは?

安藤:「日常生活のちょっとしたすき間に侵入してくるところですね。テレビを録画で好きな時間に観るように、皆の時間の使い方が細切れになっています。そうなると、テレビの前で腰を据えてゲームをする時間は当然、減ってくる。ソーシャルゲームは、人と人とがつながることが注目されていますが、それはかなり緩いつながり。僕は時間に拘束されずに遊べる魅力が大きいと思います」

スクウェア・エニックスの安藤武博プロデューサー。同社でソーシャルゲーム開発などに取り組む

 「コンソールのRPGのように、100時間なりの拘束時間を要求するゲームは、1分間だけプレーする、という遊び方はできない。僕らのお客様は、面白いものならわざわざ時間を割いて遊んでくれるのですが、コンソールゲームにはそういうプレースタイルの選択肢が今はないから、カジュアルなソーシャルゲームが重宝する傾向かと。ただ、携帯電話のゲームでは、まだ『ドラゴンクエスト』のように社会現象になるほどの面白いゲームは出てきていない。だからこそ、僕らのようなコンソールゲームのメーカーが、ゲーム屋の本領をソーシャルでも発揮しようと頑張っているところです」

――大手コンソールゲームメーカーが本格的にソーシャルゲームに参入しています。

安藤:「グーの根も出ない面白いゲームなら、ゲームファンは課金してでも遊びたい。そこは間違いない。ならば、それに見合うだけのリッチなゲームを作れるのは僕らだと思うんです。先日僕も東京ゲームショウでソーシャル要素を持つAndroid/iOS向けアプリ『拡散性ミリオンアーサー』を発表しましたが、シナリオライター、音楽、グラフィックに著名なクリエーターを多数起用しました。コンソールゲームはクリエーターの名前がほぼ出ないソーシャルゲームとは違う。『ドラゴンクエスト』なら、キャラクターデザインに鳥山明さん、曲はすぎやまこういち先生、ゲームデザインは堀井雄二さん……と、確固とした世界観作りには、クリエーターありきのプロデュースの手法が当たり前です。それを僕らは、スマートフォンアプリで本格的に始めました」

「拡散性ミリオンアーサー」 対応端末/サービス:iPhone/Android(※Android向けは「SQUARE ENIX MARKET」にて今冬以降の提供開始を発表済み) 人気作を多数手がける制作会社J.C.STAFFがアニメーションを制作する、完全新作のカードバトルRPG。著名なイラストレーターも数多く参加する  (C)SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
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