数々の「カフェづくり」の経験を生かす

 窪田茂氏が代表を務める窪田建築都市研究所がこれまでに手がけた代表的なプロジェクトは、透明のボトルパッケージにTシャツを詰めて販売するユニクロ「UT STORE HARAJUKU.」や、日本のブックカフェの先駆けとも言える「TSUTAYA TOKYO ROPPONGI」、食の安心・安全やエコロジーをいち早くテーマに取り入れた「Royal Garden Cafe(ロイヤル ガーデン カフェ青山)」など、話題を呼んだ商業施設が並ぶ。ほかにも、飲食・物販店のインテリアや住宅から大規模複合ビルまで多岐にわたる。

2007年にオープンした「UT STORE HARAJUKU.」。ユニクロのTシャツを売る「未来のコンビニ」というコンセプト。企画/クリエイティブディレクター:SAMURAI(佐藤可士和)、店舗プロデュース:入川スタイル&ホールディングス、内装設計:窪田建築都市研究所(写真:ナカサ アンド パートナーズ)
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ブックカフェの先駆けとしてカルチュア・コンビニエンス・クラブが2003年、六本木ヒルズにオープンさせたコンセプトストア「TSUTAYA TOKYO ROPPONGI」。プロデュース:入川スタイル&ホールディングス、内装設計:窪田建築都市研究所(写真:西田 香織)
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2008年にオープンした「Royal Garden Cafe」の1号店(青山)。企画/プロデュース/デザイン:生活スタイル研究所、デザイン監修:窪田建築都市研究所。アールアンドケーフードサービスが事業主体となり、“「永続的な街のコミュニティ基盤」となる店舗の実現を目指す”とうたっている(写真:Ono Tadashi/Hot Lens)
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 商業施設の場合、建築とインテリア(内装)では発注者が異なる場合も多く、建築設計事務所(建築家)や建設会社が建築設計を、インテリアデザイン事務所や内装・ディスプレイ会社がテナントの内装設計や空間デザインをそれぞれ分担することがよくある。近年になり、若手の建築家が店舗のインテリアのみを手がけることも普通になってきたものの、集客力を優先する施設では、インテリアを専門とする設計者が強みを発揮することが一般的だった。

 そうしたなかで窪田氏は、建築とインテリアの両方の分野で実績を積み重ねてきた。事務所内にも建築チームとインテリアチームを設けて仕事を進めている。特筆したいのは“カフェづくり”にも定評があること。メルセデス・ベンツ コネクションのコンペに参加できた理由でもある。

 これは、「WIRED CAFE(ワイヤードカフェ)」などで知られる企画・運営会社「カフェ・カンパニー」の創設期に設計部長として参画していた経歴と関係がある。空間のデザインを店舗経営との関係で考えるバランス感覚を、この時期に養ったという。「お店の良し悪しってやっぱり総合力なので、どれかだけで突っ走っちゃってもだめですよね。安っぽい空間で高い料理を出すのもおかしいし、もちろんリッチな空間なのにサービスが心地よくなかったら興ざめです。料理や商品もあってサービスもあって、とにかくいろんなもののバランスで成り立っている。これらのバランスをどう整えていくかということが本当の意味での店づくりの核なんですよね。僕はここに、デザイナーもかかわれると思っています」(窪田氏)。

 「バランスを取るための、いろんな角度からの見方が身に付いている」と自身を分析する窪田氏は今回のメルセデス・ベンツ コネクションで、これまでに積み上げてきたノウハウをどのように生かしたのだろうか。

窪田建築都市研究所
窪田 茂
窪田 茂
●経歴
1969年東京都生まれ。建築家、インテリアデザイナー
1991年中央工学校建築設計科卒業後、設計事務所勤務を経て、2003年窪田建築都市研究所設立。05~07年カフェ・カンパニー取締役・設計部長を兼任。
主なプロジェクトに「WIRED CAFE Qfront」「TSUTAYA TOKYO ROPPONGI」「UT STORE HARAJUKU.」「KONAKA THE FLAG」「TRIF〈FUJI NATIONAL PARK RESORT & SPA〉」「Market TERRACE」など
(写真:日経アーキテクチュア)