囲碁マガジンの常識を打破! “女性の感覚になじむファッション誌”のように仕掛ける

 一般の女性には「おじいちゃんの趣味」に見える囲碁の世界。関心のないその遠い視線を、松原さんの言葉を借りれば「一瞬で変えた」のがコレ。「碁的」の3号(2010年9月発行)である。

 下写真の左が碁的3号、右が4号だ。囲碁界のアイドル万波佳奈・奈穂姉妹がそれぞれカバーを飾っている。

2010年9月発行の「碁的」3号(左)は万波佳奈四段(姉)、2011年4月発行の4号は万波奈穂二段(妹)がカバーを飾る(画像クリックで拡大)

 囲碁マガジンでありながら女性誌かと見まがう衝撃のビジュアル……。もともと碁的(※)は、囲碁フェスを紹介する広報媒体の位置づけだったが、3号を境にその役目を離れ、内容もデザインも大刷新。当初、カバー出演をためらった万波佳奈四段が、「では誰だかわからないぐらいにお願いします!」と撮影に臨んだとのことで、長い巻き髪のウィッグをつけ、メイクで大胆に変身。一新したコンテンツはこんな具合だ。

 3号・4号から見出しをいくつか拾うと、――「2010年新常識 囲碁打つ男はイケている」「囲碁打つ娘ってどんなコ?」「頭の中から美しく! 女子力↑UP戦術 きれいを『増やす』囲碁とマネー術」「わたし、狙っちゃってもいいですか? 囲碁メン、恋の徹底攻略」「夏を先取り碁盤に映える 囲碁ネイル」などなど――。強くなるノウハウよりも、生活の中で囲碁と接点をもつ楽しさや等身大のストーリーを女性目線でアピールしている。

※年1回発行するフリーマガジン「碁的」の制作スタッフは、編集長も編集部員も本業のかたわら碁的の編集作業を行う。「IGO AMIGOは完全非営利の団体なので、ノーギャラどころか、むしろ持ち出し」(プロデューサー松原氏)とのこと。4万部発行の印刷費は協賛企業からの支援金を充てる

ツイッターを通じて、「碁的」が津々浦々に知れ渡る

 そして、碁的3号を広めた火付け役は「ネット」だった。この号を見つけたアルファブロガーの女性に紹介され、ツイッターを通じて情報が一気に拡散。「そこからは一瞬でしたね。翌週ぐらいからメディアの取材が10本ほど入って……」(松原さん)という経緯である。2010年暮れのことだ。

 現在では月2回のIGO AMIGOワークショップの参加者、毎回80~100人のうち7割を女性が占める。これからルールを覚えるビギナーが2割、その9割が女性という。碁的の3号を境に、参加者の男女比が逆転。入門者のほとんどが女性という女子校状態になっているのだ。

 「女性の社会進出を背景に、若い女性が囲碁をやるのは知的でカッコイイ、みたいな雰囲気に変わってきたと思います。今までは女の子が碁をやると“変わった子”に見られて、なかなか表立って“やってる”とは言えなかったんです(笑)」。こう話すのは碁的の編集スタッフで、自身は4歳から碁を習い始めた桝由美さんだ。

「碁的」編集スタッフの1人、桝由美(ます・ゆみ)さん(画像クリックで拡大)

ダイヤモンド囲碁サロンの「DIS交流会」(水曜と金曜の夜)では入門レッスンも行う。今日初めて打つ入門者グループを指導する様子(画像クリックで拡大)

 では、“囲碁ガール”とは一体どんな女性なのか。