人間誰しも美しく生活したいと思っている。それは見た目だけじゃない。中身から美しくということだ。

 それはクルマも同じである。今どきクルマを実用性だけで買う人はいない。だったらトラックやバンでいい。そうではなく、乗る人の身体はもちろん、時には頭や心まで気持ち良くしてくれるから買うのである。それはスタイリングであり、走りであり、質感であり、ブランド性であり、知的興奮を誘うエピソードである。クルマはある意味、五感で味わうプロダクトだ。だから楽しくも難しいのである。

 というわけでこの“ビューティフルカー”では私、小沢が美しさや知的エピソードを中心にクルマを語っていこうと思う。

<コンセプト>
今や燃費性能はパワーを超えた!

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 気がつけば、すっかり燃費オリエンテッドな時代になった。10・15モード燃費、38km/Lの現行トヨタ「プリウス」を筆頭に、ホンダ「フィット ハイブリッド」が30km/L、スズキ「MRワゴン」が27km/L、ダイハツ「ムーヴ」も27km/Lだ。

 もはや1990年代までを考えると隔世の感すらある。

 それまでクルマの歴史は、パワー競争の歴史だったからだ。1955年発売の初代トヨタ「クラウン」が48ps、1966年発売の初代トヨタ「カローラ」が60ps。それが徐々に上がって1981年の初代「ソアラ」が175ps、1987年の2代目「ソアラ」が230ps。1989年には日産「フェアレディZ」が国産初の280psカーとなり、続く「スカイラインGT-R」、ホンダ「NSX」とすべてが280ps。ほとんど燃費は二の次。速い=エライだったわけだ。

 ところがそれが、徐々に燃費指向へと変わっていった。背景は主に地球温暖化問題があるが、もしかしたら、1997年デビューの世界初の量産ハイブリッドカー、初代「プリウス」が、そのきっかけとなっていたのかもしれない。初代「プリウス」の10・15モード燃費は28.0km/Lとブッチギリだった。以来、発表と同時に燃費スペックをうたうことは当たり前となり、いまやまるでファミレスのカロリー表示のように、燃費スペックが表示されている。ダイエットさながらのエコ時代の到来である。