人から喜ばれる・愛される場所はどのようにつくられるのか――。プロ向け建築総合情報誌「日経アーキテクチュア」が、話題の施設を手がけた建築・インテリアのトップクリエイターに迫る。

銀座に出現した「ありそうでなかった」化粧品売り場

 朝、化粧ノリが良いと仕事が不思議と楽しく、スムーズに片付き一日上機嫌。帰宅後の手料理にも自然と気合が入り、「パックでもして寝ようか」なんて余裕が生まれる。全ての女性がこうとは言わないが、女ゴコロも実は意外に単純であり、女性にとって「化粧」とは、それほどまでに影響力のある存在なのだ――。改めてそんなことを感じたのは5月、東京・銀座にオープンした総合美容施設「SHISEIDO THE GINZA」を訪れたのがきっかけ。化粧品最大手の資生堂による、「女性をキラキラと輝かせるための場所づくり」を取材し、そこに込められた思いを知ったことが大きい。

SHISEIDO THE GINZAの1階売り場「ビューティーマルシェ」(写真:渡邊和俊)(画像クリックで拡大)

 SHISEIDO THE GINZAを見て回り、エンドユーザーとしてまず心を動かされたのが、1階の売り場。さまざまな販売チャネル向けの商品がブランドや価格帯ごとではなく、マスカラやアイカラー、リップスティックなどのカテゴリーごとに並ぶ。百貨店などで複数のブランドの売り場を回らなくてもたくさんの商品を手に取ることができるし、ドラッグストアなどのセルフ売り場で事足りている気になって試す機会のなかった商品との巡り合いも増える。美容部員さんに話し掛けられる場所はちょっと気の重かった自分には、「未来ミラー」と呼ばれる最新型の端末が、商品の情報や化粧の仕上がり感を教えてくれるので心強い。

1階売り場の2000点にも及ぶ商品は、百貨店売り場のようにブランドごとではなくカテゴリーごとに陳列している(写真:渡邊和俊)(画像クリックで拡大)

商品をかざすとディスプレー上に使い方や価格などを表示し、その商品で化粧をした様子までシミュレーションしてくれる「未来ミラー」(写真:渡邊和俊)(画像クリックで拡大)

 2012年に創業140周年を迎える資生堂が国内外にブランド力をアピールするために、新たな情報発信拠点として整備したのがこの施設だ。商品の陳列方法をはじめ、メーカー側の都合によって慣習になってしまっていた売り方を見直し、買い物本来の楽しさを味わうことができる場所づくりに挑んでいる。入居する3フロアにはこの化粧品売り場のほか、有料パウダールームやフォトスタジオ、ヘアメーキャップサロン、エステサロンなどの美容サービスが満載。銀座を歩くどんな世代の女性も立ち寄れる名所になりそうだ。