人間誰しも美しく生活したいと思っている。それは見た目だけじゃない。中身から美しくということだ。

 それはクルマも同じである。今どきクルマを実用性だけで買う人はいない。だったらトラックやバンでいい。そうではなく、乗る人の身体はもちろん、時には頭や心まで気持ち良くしてくれるから買うのである。それはスタイリングであり、走りであり、質感であり、ブランド性であり、知的興奮を誘うエピソードである。クルマはある意味、五感で味わうプロダクトだ。だから楽しくも難しいのである。

 というわけでこの“ビューティフルカー”では私、小沢が美しさや知的エピソードを中心にクルマを語っていこうと思う。

<コンセプト>
身の丈にあったシアワセ

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 私はこのクルマを見て、明石家さんまが「シアワセってなんだっけ」と歌ったとある食品CMを思い出してしまった。新型フィットシャトル。というのも小さなシアワセが詰まりまくっているからである。決してアメリカンドリーム的、成り上がり的ではない。不況で、原発クライシスで、リーダー不在の時代に合った身の丈にあったシアワセ。良くも悪くも今の日本がリアルに投影されているのだ。

 シャトルはぶっちゃけ、フィット・ワゴンである。ベストセラーコンパクト、フィットのボディを約5cm伸ばし、1.5cm高くした派生車種で、主にラゲッジ容量を拡大したストレッチ版。しかし、ホンダはステーションワゴンとは呼ばずに、あえて80年代の“シャトル”のサブネームを復活させて“コンパクトの革新”と呼ぶ。

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