米国のメディア大手ニューズ・コーポレーションは先月末、傘下のSNSマイスペースを売却した。報道によれば売却額は買収価格の10分の1以下。一時は一世を風靡したマイスペースの凋落を見る感であるが、この凋落からどのような教訓を得られるだろうか。

マイスペースの失敗

 それにしてもマイスペースの凋落のペースは速い。ピーク時である2008年12月には、マイスペースは米国内で毎月7590万のユニークユーザー数を誇っていた。それが今年5月には3480万人にまで減少したのだから、そこに至る2年半の間、毎月100万人以上のユーザーを失ってきたことになる。

 マイスペースの収入のほぼ全てが広告収入であったが、2009年には4億7000万ドルあった広告収入が、2011年には1億8400万ドルにまで減少すると予測されている。

マイスペースは国内でも多くのアーティストが利用している(画像クリックで拡大)

 マイスペースは2004年にサービスを開始し、2007、2008年頃には「世界最大のSNS」ともてはやされた。ただフェイスブックの成長と反比例する形でわずか3年の間に坂道を転げ落ちるように凋落していったのである。

 ちなみに、ルパート・マードック氏が率いるニューズ・コーポレーションは、2005年に5億8000万ドルでマイスペースを買収したが、売却額はわずか3500万ドルであったという。今年の2月から1億ドルでの売却を目標に買い手を探していたにもかかわらず、である。

 それでは、一時は「世界最大のSNS」とまで言われたマイスペースの失敗の原因は何であろうか。米国での種々の報道を見ていると様々な理由が語られているが、だいたい共通して以下の3点くらいの理由に集約されるように見受けられる。

  1. ニューズ・コーポレーションとマイスペースのコーポレート・カルチャーの衝突があった。ニューズ社はマイスペースの社内カルチャーを理解しようとしなかったし、またマイスペースに派遣された新経営陣もSNSビジネスを理解せず、戦略的なビジョンの設定を怠った。
  2. マイスペースがフェイスブックのようなオープンソース・プラットフォームを構築せず、すべてのサービスを社内の技術陣で作り上げようとした。
  3. フェイスブックなどは豊富なベンチャー資金の下で収益を気にせず開発に集中できたのに対し、マイスペースはニューズ社からの“マネタイズ”のプレッシャーに追われたため、クリエイティブな面よりも毎期の収益目標達成の方が優先された。