文具やバッグなどビジネスパーソンの机周りで使われる最新ビジネスギアの情報をお届けする連載。前々回から3回にわたり「ペン」のトレンドと最新アイテムを紹介。2回目のトンボ鉛筆、オートに続き、3回目はパイロット、ゼブラ編だ。

[パイロット編 1]

特殊ラバーの摩擦熱で文字が消え、消しカスも出ない
フリクションボール ノック

 摩擦熱で消せるボールペン、パイロットの「フリクションボール」は、発売直後からビジネスユーザーの圧倒的支持を受けて一気にヒット商品になった。何せ、ボールペンの書き味でしっかりした黒が書けるから、鉛筆よりも目立つ。それでいて、鉛筆よりキレイに消えて、消しカスも出ない。昨年7月には、従来のキャップ式に加えてノック式の「フリクションボール ノック」が新登場。ビジネスシーンでの利用が増大した。

 パイロットコーポレーション 営業企画部の田中万理氏は、フリクションボールをノック式にするのはとても難しかったと話す。

 「フリクションボールのインクは、3つの成分を小さなカプセルに封じ込め、1つの色素にしているため、顔料の粒が大きく、ペン先とボールの隙間を大きくしないとインクがうまく流れないんです」。

 パイロットでは以前より、ボールの裏側に小さなスプリングを入れて、使用しないときはボール自体がキャップ(ふた)の役割を果たす構造の替え芯を、製品によっては採用している。しかしこの構造だけではフリクションボールのノック化には適用できなかった。

 そこで、インクを乾きにくいものに改良すると同時に、もともと精密なボールを受ける部分の曲面の精度をさらに上げて、その上でスプリングで押さえるという方法をとった。

 つまり、フリクションボール ノックは、インクもチップもフリクションボールとは別物になった。ただしパイロットでは、製品ごとにインクやチップを調整し直すのは一般的なことだそうだ。

 また、熱で消える特殊なインクながら書き味が普通のボールペンと遜色なく快適。これもパイロットらしさで「どんな特徴のある製品でも、その特徴を優先するがゆえに、書き味がおろそかにされるようなことはないですね」(田中氏)。

 フリクションボールの場合、発売後若干薄いと感じられた黒をすぐに改良。つまり、製品が発売後も改良を続ける。それがパイロットだ。

左3本、パイロット「フリクションボール ノック 極細」各241円
右三本、パイロット「フリクションボール ノック 細字」各241円
極細はボール径0.5mm、細字はボール径0.7mm。インクの色は軸の色と同じ、黒、赤、青(画像クリックで拡大)

新しく追加された7色(各241円)。左から、BB(ブルーブラック)・G(グリーン)・LG(ライトグリーン)・O(オレンジ)・P(ピンク)・LB(ライトブルー)・V(バイオレット)。写真はボール径0.5mmの極細だが、0.7mmの細字タイプもある(画像クリックで拡大)

フリクションボールは、軸後部の特殊ラバーで文字を消すため、ノック機構やノック部分はクリップに付いている(画像クリックで拡大)

文字色は無関係に、擦れば消えるので、色鉛筆や鉛筆よりも扱いやすく、消しカスが出ないのもうれしい(画像クリックで拡大)

ノック式にするために精度を上げまくったペン先。ノック式ながら、ペン先とペン軸の穴部分にほとんど隙間がないため、筆記時のブレもないに等しい。書きやすさは、こういう部分の精度に左右される(画像クリックで拡大)

フリクションボール ノックの全タイプの色で試筆した。色によっての書き味の違いはないが、発色には差がある。ブルーブラックのような深い色がキレイ(画像クリックで拡大)