「親子とは何か?」という哲学的な問いかけ

 映画は前半部分で、赤ん坊の誘拐という罪を犯しながらも、精一杯に愛し育てる希和子の姿を描くことで、後半部分で観客に、さまざまな思いを抱かせるような作りになっている。

 なかでも重要なのが「親子とは何か?」という哲学的な問いかけだ。もちろん、誘拐は許されざる犯罪。だが、子を産めない体となり、赤ん坊が泣いている理由すらわからなかった希和子が、この幸せは長くは続かないと知りながらも、精一杯の愛情を注いでいく姿は、実の親子以上の絆を感じさせる。

 その一方で、失った時間を取り戻せずに右往左往する実の母・恵津子は、恵理菜の顔を見る度に希和子を思い出してしまい、知らず知らずのうちに恵理菜に当たってしまうのだ。

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