購買層の中心は中学生、行動範囲の狭さが影響か

 それには、ケータイ小説の読者層が大きく影響しているようだ。ケータイ小説を発売している複数の出版社に確認したところ、現在ケータイ小説の書籍を購入している層は女子中高生、特に中学生が中心になっており、従来よりやや低年齢化している傾向があるとのこと。

 この傾向には、2つの要素が考えられる。1つは、近年若年層の携帯サイト利用に対する制限が厳しくなり、ケータイ小説サイトが閲覧しにくい環境にあること。そしてもう1つは、多くの学校で取り入れられるようになった「朝読」(始業前の時間を読書にあてること)で、学生が朝読用の素材としてケータイ小説を選ぶ傾向が見られることだ。

 中学生は行動範囲の制限が強く、あまり遠出ができないことから、消費活動も自宅周辺で行われることとなる。それゆえビジネスマンの利用が主体となる都市部の書店ではなく、郊外や地方の住宅地に近い書店にて、ケータイ小説が購入される傾向が強くなったと考えられる。

 休日に販売数が伸びるという傾向も、裏付けの1つになるといえそうだ。休みの日に家族で郊外のショッピングモールなどに訪れ、その際にケータイ小説を購入する、ということを見てとることができるからだ。

 ちなみに現在、書籍として販売されているケータイ小説は、従来見られたハードカバーなどの単行本と、定期的に刊行されている文庫本シリーズがある。作品の傾向としては、前者は従来のケータイ小説に近い実話ベースのものや、メッセージ性の強いものなど読み応えを重視したものが多く見られる。一方文庫本は、ライトな内容で気軽に読めるものが多いようだ。

単行本サイズのケータイ小説「天国までの49日間」(櫻井千姫・著、スターツ出版)  いじめを苦に自殺した少女が主人公という、深刻なテーマに向き合った作品(画像クリックで拡大)

文庫本サイズのケータイ小説「狼彼氏×天然彼女」(ばにぃ・著、スターツ出版) 自覚のない学校一のモテ女が、本性は狼男というモテ男に惹かれていく学園ラブコメディ(画像クリックで拡大)