「恋空」「赤い糸」などのヒット作を輩出し、2006、7年頃に大きなブームを巻き起こした「ケータイ小説」。ブームから数年が経過した現在、ケータイ小説やその話題を目にすること自体少なくなってしまっている。しかし、実は着実な支持を得て、市場そのものは堅調に伸びているということをご存知だろうか。ブームの頃とは大きく変化している現在のケータイ小説の動向を追ってみた。

地方や郊外にはコーナーがあるのが“当然”

小説の草分け的存在である、ホームページ作成サイト「魔法のiらんど」(アスキー・メディアワークス)。ブーム後もケータイ小説の利用は堅調に伸びているという(画像クリックで拡大)

 ケータイ小説といえば、横書きで独特の文体でつづられる、若年女性の「実話をもとにしたフィクション」で、やや過激な描写と泣けるストーリーというのが多くの人がイメージするところではないだろうか。

 これはやはり、2006、2007年頃のブームでヒットした作品のイメージが大きく影響したと考えられる。そして、ブーム終焉後、ケータイ小説の動向が取り上げられる機会が大幅に減少してしまったことが、イメージの定着に結び付いているといえるだろう。

 取り上げられる機会が減少した大きな要因としては、都市部の書店にケータイ小説が置かれる機会が減少したことが影響していると考えられる。実際、都心の大型書店などでケータイ小説を探してみても、数冊程度しか置かれていない、あるいは全く置かれていないというケースが少なくない。

 だが、都市部を離れ、郊外や地方にあるロードサイドの書店に足を運んでみると、必ずといっていい程ケータイ小説のコーナーが設置されており、単行本や文庫本が豊富に並べられているという光景を目にする。中にはシリーズ累計で数十万部を販売したという作品もあるようで、ケータイ小説が現在でも着実に支持を得ていることが分かる。

 ではなぜ、都市部と郊外・地方とでケータイ小説の扱いにこれほど大きな差が出ているのだろうか?