アップル製品の発売は、必ずといっていいほどお祭り的な要素が伴う。

 発売数日前から徹夜組が出て、発売日当日には長蛇の列ができる。アップルストアでは開店とともに、ハイタッチをしながら拍手で出迎える。iPad 2の発売でも、同様の結果になるのは明らかだ。

 米国におけるiPad 2の発売は、3月11日だっただけに、日本では震災報道によって、その様子はまったく報道されていない。ニューヨークも、ロサンゼルスも、やはり発売前に長蛇の列ができ、大歓声のなかで販売が始まるという状況だった。

 発売すればお祭り状態となる製品の発売を延期し、復興の兆しが見えた時点で、復興の象徴の1つとして掲げたいアップル側の思惑は十分理解できよう。

 iPad 2の米国での発売では、初日だけで50万台に達したとの調査結果も出ている。

 3月25日には、英国、フランス、ドイツなど約25カ国で発売され、このタイミングで日本も発売される予定だった。

 同社直販サイトのApple Storeでも、米国向けでは出荷までに3~4週間待ちという状態。欧州各国でも同様に3~4週間待ちという品不足が続いている。

 次の出荷計画では、香港、シンガポール、韓国などが4月中となっており、いよいよアジア地域の各国でも、iPad 2が出荷されることになる。

 できればこのタイミングで、日本でも出荷してほしいと願うばかりだ。

 ところで、アップルが日本の災害復興に配慮し、それを視野に入れて発売延期を決定した経緯からすれば、日本で発売されるiPad 2については、売り上げの一部を復興のために寄付するといった仕組みを取り入れてみるのもいいだろう。

 これまでにも、アップルは、iPodなどの一部製品で「(PRODUCT)RED Special Edition」を用意してきた。商品の売り上げの一部を世界エイズ・結核・マラリア対策基金に寄付したきたのだ。現在も、iPod nano(PRODUCT)RED Special Editionをアップルストア限定で販売している。

 まだまだ消費自粛のムードは残っている。だが、iPad 2を入手したいと思っている人が多いのも事実だ。仮に復興への寄付を組み込めば、iPad 2の購入者も消費という形で被災者や被災地域を支援できる。

 いずれにしろ、日本でのiPad 2の発売日の早期決定を望むとともに、その発売を前向きに捉えたいものだ。

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著者

大河原克行(おおかわら かつゆき)

1965年、東京都出身。IT業界の専門紙である「週刊BCN(ビジネスコンピュータニュース)」の編集長を務め、2001年10月からフリーランスジャーナリストとして独立。BCN記者、編集長時代を通じて、約20年にわたって、IT産業を中心に幅広く取材、執筆活動を続ける。現在、ビジネス誌、パソコン誌、Web媒体などで活躍。日経パソコン PCオンラインの「マイクロソフト・ウォッチング」の連載を担当。著書に、「ソニースピリットはよみがえるか」(日経BP社)、「松下電器 変革への挑戦」(宝島社)、「パソコンウォーズ最前線」(オーム社)などがある。近著は「松下からパナソニックへ 世界で戦うブランド戦略」(アスキー新書)。