シャープがユニークな形状の洗濯機を発売している。

 縦型全自動洗濯機に分類される製品であるが、下の写真で分かるように、円筒型となっており、洗濯機としては、あまり見かけない形状だ。

 実はこれ、日本では発売されていない。タイで生産する同モデルは、タイをはじめとするASEAN市場向けモデルとして、2011年1月から発売している洗濯機なのだ。

 ブランド名は「Eclipse」。このブランドを使用しているのはマレーシアだけだが、同じ製品をタイ、ベトナム、インドネシアでも展開。今後シンガポール、フィリピンにも広げる考えだ。

 円形状にデザインされたきょう体にあわせて前面に配置された操作パネルが、月食や日食で月や太陽が欠けた様子と似ていることから付けられたブランド名。上から見たときの円形状の本体は、どちらかと言えば丸い「Moon(月)」とも言える。

 では、なぜシャープは、ASEAN向けの洗濯機で円筒状のデザインを採用したのだろうか。それには、いくつかの理由がある。

 シャープ 健康・環境システム事業本部ランドリーシステム事業部の阪本実雄事業部長は次のように語る。

 1つ目は店頭でひときわ目立つデザインを狙ったことだ。

 確かに四角い洗濯機が多いなかで、円筒状のデザインは異色だ。視覚的な訴求力は大きい。

 実は、シャープは2009年からフィリピン市場向けに、洗濯槽と脱水槽が分かれたツインタブ方式の洗濯機で、円筒状の槽を2つ組み合わせた製品を既に投入している。これもユニークな製品として注目を集めた経緯がある。

 2つ目には、強度を保てるデザインである点だ。

 タイでは土間に洗濯機を設置する家もあり、それらの家では湿気が常にある状況に置かれる。

 そのため、外装は長く利用できる樹脂にしてほしいという声があった。だが、四角い樹脂のきょう体では十分な強度を確保できない。これを円筒状にすることで、この問題をクリアしたのだ。

 「店頭では店員が本体を蹴りながら、強度があることを訴えているほど」と、阪本事業部長は冗談のような事実を明かす。

ASEAN市場向けに投入している円筒型の洗濯機「Eclipse」。操作パネルは月食のようなデザイン。ここからEclipseのブランド名がついた(現地の製品カタログから)(画像クリックで拡大)