ネットで音楽を自由に使い、二次創作の邪魔にもならず、作家に著作権使用料を支払うにはどうすればいいか――そんなボーカロイド曲のカラオケ問題は「部分信託」で解決をみた(「“ネット発音楽”で新潮流!著作権の「部分信託」で何が変わる?」を参照)。「演奏」と「通信カラオケ」はJASRAC(日本音楽著作権協会)に信託し、「インタラクティブ配信」や「録音」は自己管理とする。これはリスナーの間でも現状の最適解として理解されたようだ。

 この流れを受け、ボカロPから部分信託で作品を預かる音楽出版社が出てきた。今のところ、ボーカロイドブームに当事者として関わった企業が中心だ。

カラオケ問題から著作権ビジネスへ

 最初に業務を公にしたのは、エクシング・ミュージックエンタテイメント(XME)だ。通信カラオケのJOYSOUNDを展開するエクシング傘下の音楽出版社で、昨年11月末に部分信託業務をするための第二事業部を立ち上げた。JOYSOUNDに楽曲を提供している作家約10名と契約し、約40曲を登録して業務を開始。現在までに、約35人の約100曲の信託で作家と合意している。

 「初音ミク」などボーカロイド製品を販売する札幌市の音楽制作用ソフトメーカー、クリプトン・フューチャー・メディア(CFM)も、昨年11月末から音楽出版業務への新規参入を表明。部分信託のみを扱い、現在までに約40名と契約。登録済の曲は約300曲に上る。

 ボーカロイドムーブメントの舞台となったニコニコ動画関連では、ドワンゴ傘下にある音楽出版社のドワンゴ・ミュージックエンタテインメント(DME)が積極的に動いている。現在までに契約したボーカロイドPは40名弱、登録した楽曲は170曲ほどという。

 昨年の後半から作家にも本格的なアプローチをはじめている。今後も契約する作家や、信託される楽曲は増えていくだろう。ネット発の音楽ムーブメントは、音楽ビジネスとして動き始めたわけだが、今までの音楽業界の流れとは様相が異なる。そのキーになるのがこうした音楽出版社の動きでもある。まずリスナー目線からは見えにくい音楽出版社とは何なのかを、簡単に説明しておこう。

ニコニコ動画で活躍するボカロPなどの間で、部分信託の動きが広がっている(画像クリックで拡大)