奈良を発祥の地として、麻を中心とした幅広い雑貨の企画・製造・卸を手がけているのが中川政七商店だ。300年近い歴史を持つ日本の老舗ブランドの一つであり、伝統を土台にしながら、今という時代にフィットしたモノ作りに挑戦している。

 同社の社長を務める中川淳氏は、若いながらも「日本の伝統工芸を元気にする!」という熱い志をもって、様々なビジネス展開を図ってきた人。以前に人から紹介されてお会いしてはいたものの、改めて話を聞こうと思い、取材に行った。

シンプルで清潔感にあふれたショップ全景。楽しい「暮らしの道具」がそろっている(画像クリックで拡大)

日常使いできる日本の道具をそろえたショップ

 現在、ブランドとして展開しているのは三つ――「遊 中川」は、日本の古き良き習慣を、現代の暮らしに合わせ、生活雑貨・インテリアとして提案したもの。一方「粋更」は、日本の贈り物をテーマに、伝統的な素材や技術を生かしながら、今の時代に添ったカタチにしたブランドだ。

大きな木の看板は、ショップの外からでも目を引く(画像クリックで拡大)

 オフィスが近いこともあり、「表参道ヒルズ」に入っている「粋更」は、私が時々のぞいているショップの一つ。麻を生かした優れもののフキン「花ふきん」をはじめ、器や食品、化粧品までそろっていて、眺めて回るのが楽しい。知り合いにちょっとした贈り物をする時に重宝するし、ついでに“自分買い”してしまったりもする。

 そして、発表したばかりの3番目のブランドが「中川政七商店」。昨年11月に京都・四条烏丸にオープンした「ラクエ四条烏丸」でデビューした。事前に送られてきたリリースを見てみると、「中川政七商店」のコンセプトは「温故知新」。品質とこだわりを大切にし、家・生活に根ざした機能的で美しい「暮らしの道具」を提案していくという。「多くの人が日常生活の中で普通に使える道具を揃えた」と中川さん。

オリジナルの化粧品も作っている。和風でありながらモダンなパッケージがいい(画像クリックで拡大)

 “日本が昔から大切にしてきたものを尊重しながら時代性を反映させる”という根底の考え方は、他ブランドと共通しているものの、自分が毎日の暮らしの中ですぐに使える、使いたいと思うものがそろっているのが特徴だ。

 すっきりした店内には、様々な食器類やフキン、鍋などの台所道具をはじめ、ストールやTシャツなどのふだん使いのウェア類がそろっている。それも、必ずしも和に寄ったものだけでなく、洋の雰囲気が感じ取れるものもある。商品領域が広くテイストのバラエティーもあるのに、全体として一つにまとまった雰囲気がするのは、中川さんが思い描いた“ブランドとしての世界観”がはっきりしているからだろう。ここも私にとっては、「粋更」同様、長居をしてあれこれ選びたくなるショップ。早く東京にも出店してほしいと感じた。

家具のような什器が並び、バラエティ豊かな雑貨類が並んでいるので、見ていて楽しい(画像クリックで拡大)