人気キャスターは非凡な経営者

 一般には「高田明」という人物はテレビ通販の人気キャスターとして知られていますが、企業の経営者としても非凡なものを持っていることはあまり知られていません。高田さんはプレーヤーとしてテレビ画面の先頭に立って走っているその裏で、監督として「感動チーム」をつくるべく奔走しているのです。事実、彼は従業員500余名で年商1500億円を売り上げる超優良中堅企業の社長なのですが、注目すべきはその数字のスナップショット的なすごさではありません。お客様の感動、社員の感動、この感動をキーワードに厳しい仕事の中で働くことの嬉しさを追求する集団をつくり上げている才覚は、私がお会いした幾多の経営者の中でも出色です。

「あなたは感動、感動と言いすぎます、と先日も女房にあきれられました」と高田さんは笑います。それほど彼は顧客の感動、社員の感動と正面から向き合っています。「言いすぎる」だけではなく、それを実現するためにやりすぎるくらいのことをやってきているのです。その感動経営の根っ子にあるのは、

  • 【1】「いま、ここ」をがんばる
  • 【2】 社員の幸せを第一に考える
  • 【3】 謙虚で堅実、

の3点かと思います。

【いま・ここ】

 高田さんは26歳のときに長崎県平戸市にあった父親のカメラ店を手伝うことでこの業界に入りました。1986年に独立し、ラジオ通販を始めました。それが軌道に乗ると、より多くの人に知ってもらいたいと思いテレビ通販を始め(1994年)、お年寄りはテレビよりチラシだということで新聞のチラシに進出(1995年)、そしてこれからはネットの時代だというのでインターネット通販を始めた(2000年)、という具合にビジネスを拡大してきました。そのときそのときを全力を尽くして生きてきて気がついたら今のようになっていた、とサラリと高田さんは言います。今の人は計画とか戦略とか、分からない先のことを考えすぎます。その日その日をきちんと生きた積み重ねが1年になるのです、と言います。

 シナリオを書かないというのは、高田の番組への態度でもあります。商品を事前に徹底的に勉強しますが一旦番組が始まるとその商品の紹介はシナリオなし、すべてそのとき浮かんでくる自分の言葉で話すそうです。「恋愛と同じです。台本を読むプロポーズなんてありません。そのときの真剣な気持ちが伝わって人は動くのです」と言う。