デジカメ、「15倍ズーム」のすごさをどう伝えるか

「日本のメーカーのモノづくりはまだまだ超一流」と高田さんは言います。「ただ、作り手は一生懸命作っているのだが、その本当の良さやその奥にある強い思いが買い手に伝え切れていないのがもったいない」と続けました。良いものを作るために一生懸命努力しているなら、その良さを使い手に伝えるために同じくらい努力をしてもいい、というわけです。メーカーにそれができないのなら、誰かがそれをやらなければと作り手も使い手も浮かばれない、それなら私たちがやろうというわけです。

 高田社長とその仲間たちのモノを見る目には厳しいものがあります。ただそれは、モノの性能を吟味するその道のプロの厳しさではありません。使い手からみてどこがいいのかを問う厳しさです。高田さんが「カラオケを本気で歌いました」と言ったのは、本気で歌って楽しめる商品かどうかを前もってきちんと検証し、それが間違いではないことを自ら実地で証明しました、ということなのです。商品の吟味は相当力を入れてやっているようで、それができているからこそ番組で紹介者が自信を持って自分の言葉でその良さを語ることができるのです。ここでも「本気」がモノをいいます。

 とはいえ、商品の魅力を限られた時間で伝えきり、まったく買う気のない人を「うん、いいかも」と思わせるのは並大抵ではありません。高田さんのカラオケ実演の他にもなるほどと感心させられたシーンがいくつかありました。その1つが、デジタルカメラの15倍ズームの威力を紹介したシーンです。

 まず高田さんはテレビ画面一杯に広がった1枚の写真を見せました。夜の街の風景ですがよく見るとその先に本当に小さく月が写っています。「これが元の写真ですよ。よく見てくださいね。つぎは10倍ズームで撮った写真をお見せしますよ」と高田さん。次の画面には、街の上の空に大きく輝く満月が映し出されました。続けて高田さんが「はぁい、つぎは15倍ですよ」と言って出てきたのは、何と画面一杯に広がるお月様の写真です。月の表面がきれいに映し出されていて、高田さんも目いっぱいトーンを上げて「はぁ~い、ウサギさんも見えますよね!」と叫んだのでした。

 それを見ていた私も、その説得力にすっかり脱帽したというわけです。いつも商品の良さを検証した直後に、それをどうやったらお茶の間に伝えることができるかを、皆で真剣に議論しているのです。