「『神社系』って、手帳に向かっておがんじゃうわけでしょう、あれは」

舘神:活用本とか雑誌の特集とかでは、「最新手帳術」「必殺技決定版」みたいなものがどんどん紹介される。読者がそれを実践して、自分のBlogで紹介する。こういうワザのブレンドの果てに、自分の活用術ができあがる。その結果、結局みんなが知っている結論、十人十色ってとこに落ち着いちゃうんだと僕は思いますけどね。

高畑:ま、そうなっちゃうんですけど。

納富:十人十色の中で、例えば、この手帳術を真似したいとかあるわけじゃないですか。

舘神:あるある。

納富:これは自分が考え付いた管理方法だとか、あの手帳のこの部分が使いやすいとか、そういうそれぞれの小さな普遍性みたいなものが、それぞれに手帳という形になっているんじゃないかと。

舘神龍彦(たてがみ・たつひこ)アスキー勤務を経て、フリーのライター/編集者。手帳に関しては、各種雑誌や新聞などに執筆し、FMラジオやテレビでも活躍。人よんで「手帳王子」。著書に『くらべて選ぶ手帳の図鑑』など

高畑:「ライフハック」の語源みたいな話になりますが、色んな人が作った短いプログラムの断片をいっぱい貰ってきて、自分のやりたい大きなプログラムを作るみたいな感じですよね。自分で全部コードを書くのは大変だから、人が今までやってきた中で、上手く行ってるものを貰ってきて、ダメだったら外して新しいのを入れるといった。そういうユニットとしての知の体系。

 その組み合わせ方で、結局最終的に出来上がるものはみんな違うんだけど、その小さなユニットの総称が手帳術なのかもしれない。

納富:沢山ある手帳それぞれも、そんなユニットの一つと考えれば、凄く色んな種類の手帳があることも、メリットがあると。

舘神:手帳の幅で言えば、これみたいなね、「ライフハックプランナー」(註2)

納富:そう。手帳術の一方の考え方として、そういうフォーマットが決まったモノを使うというのはどうなんでしょう。

高畑:「フランクリン・プランナー」(註3)みたいな系統ですよね。それって、手帳に書き込む術を通り越して、生き方の術まで手帳のなかに含まれてしまっている部分がある。

註2 【ライフハックプランナー】:小山龍介氏監修による差し替え可能な分冊タイプの手帳。タスク管理、タイムライン管理、自由帳の三冊に、小山龍介氏書き下ろしの手帳術の本が付いている。
註3 【フランクリン・プランナー】:「人生を変えるタイム・マネジメント・ツール」というキャッチフレーズで有名な手帳。時間を管理する事で目標を達成していくノウハウを手帳化したツールとも言える。

舘神:それをもってして手帳術と言い切っちゃってるんですよね。

高畑:そうですよね。

舘神:これは別のサイトにも書いた話だけど、フランクリン・プランナーの担当者が店頭に立っていたときに、通りがかった若者が「へえ、手帳で人生が変わるんだってよ」っていう風に叫んだんです。そこまで落とし込めるものなんだよ人生はっていう、強いメッセージがあの手帳にはあった。

高畑:実際に変わるって言ってますからね。ムービーが流れてますからね、あれの売り場では。

舘神:実際アメリカとかには、百数十万人という、日本とは比べ物にならないほどのフランクリン・プランナーのユーザーがいて、一定の説得力はあるわけですよ。じゃあ僕らがそれを普通にやれるかというとそれはまた別なんですけど、日本でも十何万人のユーザーがいたりということを考えると無視はできない。

納富:どういう目標だと、例えば「フランクリン・プランナー」が向いているんだろう。

高畑:「フランクリン・プランナー」って、要はキリスト教的な考え方で、理想の自分みたいなピラミッドがある、というところから始まるじゃないですか。最終的には、健康面ではこう、お金はこう、何とかはこう、と自分の全ての人生に対して理想像みたいなのを作って。そこから今の世界まで落とし込んでくるという。上がすごい先まで見渡せてて、そこに近づく為の何かの階段なわけですよ、あれは。

舘神:ちょっと我々に理解しがたいのはその辺ですよね。「ミッション」とか言われてもね。ちょっと誤解されているのは、あれは立派な人になろうとか、成功しようではなくて、自分なりの理想を作ってそこに近づこうということなんですけどね。

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高畑:理想に対してのミッションという考え方というのが、僕らにはあんまりなくて。僕らはどちらかというと目の前で起こる出来事をこなしていくという、科学と理科みたいな違いがあるじゃないですか。

納富:前に舘神さんが、有名人の名前を冠した手帳について「神社系手帳」って言い方を提唱していて、僕はあの言葉がとても好きなんです。あれは、手帳に向かって拝んじゃうわけでしょう。

高畑:あれは「フランクリン・プランナー」とはまた違うタイプですよね。

舘神:そうそう、違うんです。神社系は「あやかり文化」ですね。神社の中には、自然神を祀ったものとは別に、実在の人物、とくに武功を上げた人物を祀ったものがあります。たとえば源頼朝を祀った鶴岡八幡宮、徳川家康を祀った日光東照宮。こういう種類の神社と、何々先生の何々手帳、何々教授のなんとか手帳、というのがイコールになってる。