風景のスナップ撮影は"タイミング"で差が付く

函館山からの夜景を撮影した翌朝。5時40分にホテルロビーに集合がかかり、再び函館山に登った。既に朝日は昇っていたものの、太陽はちょうど雲の間に入っていた。こんなときこそ、大自然のドラマが起きる。雲の間から差し込んだ太陽の光が、汐首岬の海面を黄金色に照らし始めたのだ。こういうときは少しだけ露出を抑えてやると、全体的に明るさが落ち、その分、海面のきらめきが強調される。撮影モードを「極彩色」に、露出補正をマイナス2/3にして撮影した
【撮影データ】
キヤノンIXY 50S、撮影モード:極彩色、ISO感度:オート(125)、ズーム:光学10倍、記録画素数:L、圧縮率:ファイン、撮影:露出補正をマイナス2/3にして、あとはカメラ任せで撮影(画像クリックで拡大)

 スナップの中でも、風景のスナップはなかなか難しい。難しいというよりも、自然の変化に気づけるかどうかが作品の出来を大きく左右するからだ。つまり、場数というか、経験がものをいうのがこの風景スナップというやつなのだ。

 例えば、早朝に函館山に登ったが、時は既に遅く、日の出時刻は過ぎていた。ところが東の空にはやや厚めの雲があり、朝日をさえぎっている。こんなときこそ予想外の大自然のドラマが始まる。

 造景も、jinkeディレクターも、Sプロデューサーも、カメラは手にしているものの、完全に油断して三人とも雑談にふけっていた。ボクはどこかに兆候が現れるはずだと、とにかく注意深く見回した。すると、一瞬、雲の縁が虹色に輝いた。彩雲。本来の虹よりもはるかに淡く、わずかに遠くにある雲の縁が虹色になる。撮影しても、なんか色のモアレのようにしか見えないかもしれないが、珍しい一瞬は撮り逃がすまい。こんなときこそ、IXY 50Sの高倍率ズームが威力を発揮する。

雲の縁。わずかに虹色に輝く部分があった。彩雲(さいうん)。虹と同じように光の屈折でおきるのだが、太陽にかかった雲のどこかに現れる。現れても一瞬で、ほとんど気づかない場合が多いもの。撮ってもモワレ(色のにじみ)のようにしか見えないかもしれないが、なかなか見られない貴重な瞬間をズームでぐっと寄って撮影した
【撮影データ】
キヤノンIXY 50S、撮影モード:極彩色、ISO感度:オート(125)、ズーム:光学約6倍、記録画素数:L、圧縮率:ファイン、撮影:カメラ任せで撮影(画像クリックで拡大)

 さらにドラマチックなシーンは続く。このページの冒頭作品のように、太陽の光が雲から漏れて、汐首岬を金色に照らし出したのだ。汐首岬の向こう側に主となる光が一本。そしてその手前に弱い光が漏れて海面を照らしている。ここもIXY 50Sの10倍ズームの活躍の場だ。ズームで寄り、うまく岬のシルエットを配置。そして露出をマイナス2/3にして、全体の露出を落とすことで海面の光がより強調されるように撮影した。

 この日はスケジュールが詰まっていた。函館から小一時間クルマで走ったところにある大沼公園に行くのである。大沼ではカナディアンカヌーに乗ったり、ランチクルーズに出たりする予定。大沼に着くと、前方にはツンと山頂が突き出した駒ケ岳がそびえていた。沼には小さな島のようになったところがいくつもあり、まずはそれをからめて駒ケ岳を撮影した。

大沼から駒ケ岳を撮影。手前の小さな森のような島を配置し、遠景に駒ケ岳。背景は澄んだ空と雲という構図にした。空と湖面のてかりをわずかに抑えるため、露出補正を少しだけ入れた。これでひとまず完成は完成だが、ボクとしてはもう一つ何か欲しいと思っていた
【撮影データ】
キヤノンIXY 50S、撮影モード:極彩色、ISO感度:オート(125)、露出補正:マイナス2/3、ズーム:光学約4倍、記録画素数:L、圧縮率:ファイン、撮影:カメラ任せで撮影(画像クリックで拡大)

 しかし何かが足りない。そのとき、遠方から猛スピードで滑走するモーターボートが見えた。おそらく手前側を旋回しながら通り過ぎていくはずだ。通り過ぎる瞬間がシャッターチャンス。タイミングを計りながらシャッターを押す。イメージどおりの作品を撮影することができたのだ。

大沼と駒ケ岳。何かが足りないと思っていたときのこと。遠くからモーターボートがものすごいスピードで走ってくるのが見えた。きっと手前側を通過するだろう。そんな予想のもと、シャッターを押すタイミングをはかっていた。エンジンの轟音をたなびかせながら、ボクの予想したコースよりはわずかに奥側だったが、タイミングを見計らってシャッターを押した
【撮影データ】
キヤノンIXY 50S、撮影モード:極彩色、ISO感度:オート(125)、ズーム:約光学3倍、露出補正:マイナス1/3、記録画素数:L、圧縮率:ファイン、撮影:モーターボートのコースと動きとを予想し、タイミングを見計らってシャッターを押した。あとはカメラ任せでの撮影(画像クリックで拡大)