ちょっと工夫して"記録的"な写真から脱却しよう

函館の朝市に出陣! まだ朝が早かったせいか、そんなにお客さんも来ていない。所狭しと海産物やら農作物が並べられていた。朝市の場内はどうしても暗く、フルオートにしてしまうとストロボが自動的に発光してしまう。それだとせっかくの雰囲気が損なわれてしまうことがあるため、ストロボを発光禁止に設定した。そして撮影モードは「ローライト」にして、手ブレしにくい設定で手持ち撮影した
【撮影データ】
キヤノンIXY 50S、撮影モード:ローライト、ISO感度:オート(500)、記録画素数:250万画素、圧縮率:ファイン、撮影:ストロボ発光禁止に設定した以外は、すべてカメラ任せで撮影(画像クリックで拡大)

 函館という街は、それこそ撮影のネタには困らない。函館山からの夜景はもとより、五稜郭跡、朝市、坂道、教会、ベイエリアの倉庫街など、魅力的な被写体が渦巻いている。

 だが、どのように撮っていくとその魅力を最大限に引き出せるのか。特に今回のように"コンデジ(コンパクトデジタルカメラ)"で撮っていく場合、どうしたらこれまでとは違う、新しい写真の楽しみを見つけられるのか。そんな疑問に答えながら話を進めることにしよう。

 例えば朝市。普通に目につくものをそのまま撮っても楽しい。しかし、それではただの"記録"ということになってしまいかねない。決して記録的な撮影が悪いというのではないが、もう少し工夫しながら撮れば、コンデジの、しかもほとんどカメラ任せのオート撮影でも相当な表現ができるのだ。

真っ赤にゆで上がったタラバガニを冷凍したものが並べられていた。鮮やかな色が目を引いたので、ちょいと撮影してみた。普通にカメラを構えた横位置の撮影よりも、この場合はカメラを縦に構えた縦位置で撮影した方が主題であるカニが縦に並んで画面を整理しやすい。フレームの対角線上にカニがあるようにカメラをわずかに時計回り側に傾けて撮影。手持ちでは手ブレしやすい状況だが、あえてプログラムAEで手持ち撮影してみた
【撮影データ】
キヤノンIXY 50S、撮影モード:PプログラムAE、ISO感度:オート(125)、記録画素数:L、圧縮率:ファイン、撮影:ストロボ発光禁止に設定した以外は、すべてカメラ任せで撮影(画像クリックで拡大)

 まずよくやりがちなのは、ただ見た目の視点だけで撮ってしまうこと。上に掲載したタラバガニの陳列や朝市の会場風景などがまさにそれである。目についたものをそのまま撮る。スナップ撮影の基本といえば基本なのだが、後から見るとあまり面白みが湧いてこないことが多い。それは絵に動きがないため、その場のにおいとか、温度とか、臨場感が伝わってこないからである。

朝市の場内の食堂では、ウニ丼や活きイカ丼、ボタンエビ三色丼など、思わずよだれがでてしまいそうなメニューが目白押し。もう少し光を工夫して撮りたかったが、お店が混んでいて思うようにはならなかったため、単なる記録撮影にとどまってしまった
【撮影データ】
キヤノンIXY 50S、撮影モード:PプログラムAE、ISO感度:オート(200)、記録画素数:L、圧縮率:ファイン、撮影:すべてカメラ任せで撮影(画像クリックで拡大)

 同じカニを撮る場合でも、毛ガニをゆでている場面だと全く違う印象になる。ゆでている時の水蒸気、そしてゆだったカニの香ばしいにおい。もちろん写真にはにおいや温度、湿気などが写り込むはずなどないのだが、においがするような気がしたり、温度や湿度が感じられるような作品が撮れれば最高だ。そのためには、前回の「タイガーロール」でも解説したように、どこから撮れば一番美味しく見えるのか、それをとことん探るのである。

お店の人にきちんとことわってから撮らせてもらった、毛ガニをゆでている風景。これはお店の中側から狙ったもの。逆光で撮ったので、湯気が輝いている。また観光客を写し込むことで、臨場感を出している。またこの日は風が強く、湯気が風向きで大きく揺らいでいたのだが、うまく湯気がかかるタイミングでシャッターを押している。このタイミングをはかって撮ることも重要なポイント
【撮影データ】
キヤノンIXY 50S、撮影モード:ローライト、ISO感度:オート(250)、記録画素数:250万画素、圧縮率:ファイン、撮影:すべてカメラ任せで撮影(画像クリックで拡大)