2010年9月1日に米国でアップルが新しい製品とサービスを発表した。ある意味で地味な発表内容であり、報道の多くも事実を淡々と伝えるだけであった。しかし、それに続く競合他社の発表や動きも踏まえて考えると、今回のアップルの発表は、ネット上のコンテンツ・ビジネスのパラダイム・シフトの方向性を明確に示したものと評価できるのではないだろうか。

アップルの発表と他社の対応

 今回の発表でアップルは様々な新しい製品とサービスを発表したが、重要なのは二つである。一つは、299ドルだったアップルTV(アップル・ストアで購入したコンテンツをテレビで観るための機器)の99ドルへの大幅値下げであり、もう一つはテレビ番組のネット配信へのレンタルの導入(これまでは2.99ドルでの販売だけだったが、新たに99セントでのレンタルを開始)である。

 関連する他社の動きを列挙しておくと、グーグルはアップルの発表の翌週、グーグルTVを今年秋に米国で、そして来年には世界で発売することを明らかにした。また、iPadへの対抗として、タブレット型コンピューターのメーカーとの提携も示唆している。グーグルのOSを搭載したiPad的な端末がいずれ出て来るのであろう。加えて言えば、グーグルが音楽配信ビジネスに乗り出すという噂は8月から根強い。

 次に、アップルと音楽配信や電子書籍で真っ向から競争しているアマゾンは、アップルの発表の翌日に、テレビ番組のネット配信(販売)の価格を2.99ドルから99セントに値下げした。

 ネット上でのテレビ番組の有料配信については、アップル以外にも既にHulu(ネットワーク局3社によるサイト)、CATV会社(TV Everywhereサービス)、Netflix(DVDレンタルの最大手)、MSやソニーのゲーム機経由の配信、BoxeeやRokuのセットトップ・ボックス経由の配信、と競争は熾烈を極めているが、価格競争によるシェアの奪い合いがいよいよ激化しつつあるのである。

アップルが値下げを発表したアップルTV(画像クリックで拡大)