きっかけは駅の構内に張ってあった大判のポスターを見たことだった。なんという美人……。なのに名前が出てこない。麻薬撲滅キャンペーン的な政府広報のポスターだったように記憶するが、その中で微笑んでいる女性は明らかにブレーク一歩手前のオーラをキラキラと放っていた。ポスター下に名前が書いてあったのでケータイでメール転送し、帰宅してから名前を「ウィキペディア」で検索して、やっと確認した。

 女優さんだが、元々は14歳のときに「おはスタ」(テレビ東京)の火曜おはガール。2002年、アイドルグループ「フルーツポンチ」の一員として活躍していたアイドルだった。

 翌2003年にはヤングジャンプ「制コレ」グランプリに輝き、制服がいちばん似合う女子高生となっている。ブレイク寸前の近野成美(こんの・なるみ)さんだったのだ。

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 元々は愛媛県の出身。小さい頃、浜崎あゆみの大ファンだったが、愛媛まで全国ツアーはまわってこない。「一度でいいからアユの顔を生で見たい、そのためにはどうすればいいか」と小学6年生の成美ちゃんは考えた。浜崎あゆみと会うためにはどうすればいいのか。

 そこで考えついたのが、彼女の所属するレコード会社エイベックスのオーディションに出ることだ。そこまで行けばひょっとしたら憧れの浜崎あゆみに会えるかも知れない。

 2001年、中学1年生のとき成美ちゃんはオーディションを受け、なんと「ベストスマイル賞」に輝いてしまった。アユに会えたのは、それから3日目のことだったという。会ったら本当にまっすぐ実家へ帰るつもりだったが、賞を受賞してしまい容易に帰れなくなってしまった。

 しかもマネジメントサイドが、その3日後に「おはスタ」の仕事をとってきた。ラッキーといえばラッキーだが想定外といえば想定外だ。

 悩んだが、二次試験で会った一歳上の同期の女のコの「なんとしても芸能界で成功したい」という(自分にはなかった)情熱にうたれ、ともかく「選ばれたのだから、挑戦するだけはしてみよう」となった。