人間誰しも美しく生活したいと思っている。それは見た目だけじゃない。中味から美しくということだ。

 それはクルマも同じである。今どきクルマを実用性だけで買う人はいない。だったらトラックやバンでいい。そうではなく、乗る人の身体はもちろん、時には頭や心まで気持ち良くしてくれるから買うのである。それはスタイリングであり、走りであり、質感であり、ブランド性であり、知的興奮を誘うエピソードである。クルマはある意味、五感で味わうプロダクトだ。だから楽しくも難しいのである。

 というわけでこの“ビューティフルライフカー”では私、小沢が美しさや知的エピソードを中心にクルマを語っていこうと思う。

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<コンセプト>
売らんがためのフルモデルチェンジではない

 今夏、日本で最も有名なビッグサイズミニバン、日産「エルグランド」がフルモデルチェンジしたが、奇しくもほぼ同時期、ドイツでもヨーロッパを代表するミニバン、フォルクスワーゲン「シャラン」がフルモデルチェンジした。先日、ミュンヘンで乗ってきたばかりであり、来年には一部グレードが正規輸入される予定なので、気になる方はぜひ読んで欲しい。

 しかしこの2台、性格は恐ろしいほど違う。それはモデルチェンジ・サイクルに良く現れている。エルグランドは、2代目が2002年デビューしているから今回は8年目のチェンジだが、かたやシャランは95年に初代が出て以来だから実に15年目。モデルサイクルはほぼ倍だ。

 特にエルグランドの場合、初代が97年にデビューしているので初代モデルに限ってはわずか5年間しか生産されていない。

 この違いは何を意味するのか? 単純に言うと日欧のクルマ観の違いであり、ミニバン観の違いだ。例えばヨーロッパで全乗用車販売中、ミニバンが占める割合は、わずか1割以下だが、日本は一時期2割、ヘタすると3割近くを占めた。

 単純にミニバン大国ということもあるが、要はクルマにエンタテイメント性を求めているのだ。電動スライドドアに始まり、大型モニター、高音質な音響システムは新しくなる度にグレードアップし、押し出しの強いスタイリングは、毎回イメージを絶妙に変える。言わば、流行モノなのだ。

新型シャラン(画像クリックで拡大)

95年欧州発売の初代シャラン。日本では97~99年に販売された(画像クリックで拡大)