ユニークな高校野球部を描く小説「どまんなか」全3巻、各998円。著者の須藤靖貴さんは、自ら積極的に書店回りも行っている(画像クリックで拡大)

 甲子園では連日熱戦が続いているが、埼玉県北部の高校野球部を舞台にした小説「どまんなか」(講談社)が最近人気を集めている。著者は元「ベースボールマガジン」記者で埼玉県在住の作家・須藤靖貴さんだ。須藤さんが県立松山高校(埼玉県東松山市)野球部を取材してインスピレーションを得て書き上げた作品で、埼玉県を中心に、とくに東武東上線沿線で売れている。今年5月に第1巻、6月に第2巻、7月に第3巻を発売。人気を受けて第1巻は増刷が決定した。

 バント禁止、けん制球禁止、投げる球はど真ん中へなど、高校野球のセオリーに反した独自の野球理論を持つ新監督の就任で、万年県大会1回戦負けのチームが成長していく姿を描いている。「この小説にハマる大人の読者も多いですね。グイグイ引き込まれた、忘れていた何かを思い出した、背筋がすっと伸びるようなさわやかな読後感を持ったという声が数多く届いています」(講談社・担当編集者)。

 早朝練習の後に、部員全員で朝ご飯をつくって部室で一緒に食べるくだりもあり、ご飯、味噌汁、生卵といったシンプルな朝食が、いかにもおいしそうに描かれている。そんな場面も含めて、「こんな高校生活っていいなあ」という感想を寄せるお母さん世代も。久々に爽快(そうかい)感を感じたい人はチェックしてみてはどうだろう。

(文/志水京子)