ピュアオーディオやホームシアターを楽しむ際に、たいへん重要なのがスピーカー選びだ。デジタルメディア評論家の麻倉怜士氏は、オーディオの世界に入り込んでいきたいという人に独ELACの「180シリーズ」をお薦めしたいという。180シリーズが紡ぎ出す音の魅力を、麻倉氏に存分に語っていただこう。

世界的に注目されているのは英B&W「800シリーズ」と独ELAC「180シリーズ」

麻倉怜士(あさくら・れいじ) デジタル・メディア評論家、日本画質学会副会長、津田塾大学講師(音楽)

 現在、世界的に注目されているスピーカーは2つあります。一つは英B&Wの「800シリーズ」で、クラシックマニア垂涎のあこがれのスピーカーです。それが4月にフルモデルチェンジされ、「800 Diamond」「802 Diamond」「803 Diamond」「804 Diamond」「805 Diamond」になりました。型番に「Diamond」が付く通り、ダイヤモンドの振動板の「ダイヤモンドツイーター」を標準装備しています。

 B&Wはもともと音のバランスや自然さ、伸びやかさ、音の深さがありました。それがこのモデルチェンジによってさらに剛性感が高まり、音楽的情報も増えました。これには感動しましたね。しかし、従来は30万円以下だった805が50万円以上になったように、B&Wの新モデルはすごく高くなりました。

 逆に、価格を安くしたのにもかかわらず、音が変わらないというのが独ELACの「180シリーズ」です。

独ELACのスピーカー「180シリーズ」

 ELACのスピーカーは、近年とみに評価を高めています。ELACは北ドイツのキールに本社を持つ創業約80数年の老舗メーカーですが、オールドアナログファンには「MMカートリッジ」(アナログレコード表面の音溝の振幅を電気信号に変換するもの)の元祖というイメージが強いのではないでしょうか。音楽CD時代になってカートリッジ事業が傾き、スピーカー製造に業態転換したという大胆なメーカーです。

透明感があり、音のレンジ感が広く軽快な音

 ELACの良さの一つは「透明感」です。音のレンジ感が広く、中高域がクリアです。低域が重々しくなく、軽快にリズムを刻みます。全体にわたってきわめて透明でありながら、芯がしっかりしているので、クラシックだけでなくポップス、現代曲にもマッチします。

 今回注目したいのは、ブックシェルフ型の「BS182」とフロアスタンド型の「FS187」です。BS182はELACではじめて10万円を切り、FS187も20万円を切りました。今までは30万円、40万円といったモデルが多かったので、かなりの割安感です。

ブックシェルフ型の「BS182」(画像クリックで拡大)

フロアスタンド型の「FS187」(画像クリックで拡大)

 ELACは戦略的に価格設定したと思いますよ。B&Wはダイヤモンドツイーターにして上がったコストを価格に乗せましたが、ELACは新しく低価格シリーズを作ることで戦略的にELACのファンを広げていこうという意気込みを感じます。ELACにあこがれながらも、高いから買えないという人も多かったと思うんですよ。それをリーズナブルな価格で提供しながら、ELACらしい音作りを実現した点に戦略的な狙いを感じます。