【必ず役立つ! 豊田直之の撮影“タイガーロール”】

風 見えないものをイメージ的に表現する!

麦畑を渡る風を捕らえてみようと思った。風は目に見えるものではないが、その存在を知ることはできる。麦の穂を揺らす風を高速シャッターで止めてみた。この撮り方で撮った作品をしっかりと目に焼き付けておいてほしい
【撮影データ】
キヤノンEOS 5D markII、レンズ:キヤノンEF70-200mm F2.8L USM IS、シャッタースピード:1/2700秒、絞り:f7.1、ホワイトバランス:オート、ISO感度:800
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 今回は、写真表現についていろいろと考えてもらいたいと思います。写真の持つ素晴らしさは、まずは記録性でしょう。何かを記録に残すことは重要なことであり、写真はその大きな任務を担っているといえるはずです。

 また、映像を表現することで、何かを伝えるという役割を持っています。もちろんそこには写実的な要素で伝えるものもありますし、イメージ的なものを見る側にふくらませてくれるものもあるでしょう。今回は、その後者の話を少ししてみたいと思います。

 今回の島根の旅で出雲空港に降り立つと、最初に感じたのは風でした。その日の風がたまたま強かったのかもしれませんが、こんなに風が吹くんだ……という印象が強かったんですね。そして前述の築地松の取材に突入したのですが、築地松も風を防ぐためであるということを知り、改めて島根の風を意識しました。この風をなんとか映像で表現できないかと思っていた矢先、麦畑の麦が風の渡る様子を表しているじゃありませんか。じゃぁこの目に見えない風の存在を捕らえてみようと思って撮ったのがこの作品です。

 柔らかな麦の穂は、風にあおられて次々にたなびきます。まるで風が走っている姿のようです。その足跡をたどるように、カメラで追うと、風の渡る姿が目に見えてきます。こんなときも、画面の真ん中に麦の穂のたなびきをもってきてしまうと、なにか説明調の写真になりがちです。あえてたなびきの強いところはセンターを避け、上下左右のいずれかにずらした形で撮るとうまくいきやすいです。

 また、カメラのシャッタースピードは最低でも1500分の1秒以上に設定した方が、動きがピシッと止まっていい感じになるはずです。全く逆の発想で、前回のお話ししたようにスローシャッターでブラして撮る方法もあると思います。ぜひ一度試してみてください。(豊田 直之)

ズームで被写体にグッと寄った感じで撮ってみた。風の渡る方向などは分かりにくいが、力強さが際立ってきた感じだ。主題を際立たせることでわかりやすい写真になった分、僕にはイメージ感が少し薄まったようにも思える。どちらがいいかは、試してみてから自分で判断するのがいいだろう
【撮影データ】
キヤノンEOS 5D markII、レンズ:キヤノンEF70-200mm F2.8L IS USM、シャッタースピード:1/2000秒、絞り:f7.1、ホワイトバランス:オート、ISO感度:800
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