“無骨なボディ”がカッターの性能を引き出す

 次は本体だ。デザインはなんとなく無骨な角張った形状。これも実は、カッターの性能をフルに引き出す面で重要なポイントだと私は思う。側面は刃と平行、上面は刃と直角。これなら、薄っぺらい刃が切られるものに正しく当たっているかが本体を見るだけでわかる。普通、カッターの刃は切られるものに対して垂直に立て、進行方向に刃を向けて使うのが基本。薄い紙などを切っている時にはあまり気にしないかもしれないが、この方向がずれていると、切断面がキレイでなくなり、刃に無理な力がかかる。スチレンボードや段ボールなど少し厚みがあるものを切ると、その断面をキッチリ直角に切るのは定規を当てていても意外に難しいことがわかる。

 本体断面が楕円形のカッターは持ちやすさ、疲れにくさの面では優れているが、カチッとした作業をしたい時には、この無骨なボディが役に立つのだ。常にボディの上面を意識しながら切ることで、かなり安定した切断ができる。また、しっかり握って力を入れる時、本体後端の斜めの面が、ちょうどライフルの肩当てのように手のひらにピタッと当たるので、ガッチリとした安定感は格別。替え刃のせいもあるが、適度な重量があり、力のかかる作業をしたときには、まさに切れ味がひと味違うと感じられる。

 本体は、工具などに多く使用されるナイロン系樹脂(ガラス繊維入りか?)。通常の文房具でよく使われるABS樹脂などに比べ、圧倒的に高強度で耐衝撃性が強いので、落としたりぶつけたりすることでの破損はまず考えられない。

 無骨と言えば無骨だが、形状・構造・材質などあらゆる面において設計意図が明確。すべてが使うためにデザインされており、機能美と言うに相応しい。これもまた、10年使って損のない逸品である。

側面は刃と平行、上面は刃と直角で、後端の斜めの面が手のひらにピタッと当たるので、安定した切断が可能(画像クリックで拡大)


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著者

高畑正幸(たかばたけ まさゆき)

高畑正幸

1974年、香川県生まれ。図画工作と理科が得意な小学生を20年続けて今に至る。TVチャンピオン「全国文房具通選手権」(テレビ東京系)で3連覇中。現在は文具メーカーに勤務、文房具の企画開発を行っている。著書「究極の文房具カタログ」、文具研究サイト「B-LABO」主宰。新刊 「究極の文房具ハック」発売中!