アマゾンの「Kindle」や、アップルの「iPad」といったデバイスが注目されるようになったことから、国内でもにわかに電子書籍市場の盛り上がりが期待されている。だが携帯電話の世界では、すでに電子書籍の市場が立ち上がっており、大きな規模に達している。そこで今回は、先行する携帯電話の電子書籍市場の現状と課題、そして今後について取り上げてみたい。

急速に注目を集める電子書籍

 ここ最近、電子書籍に関する話題が大きな盛り上がりを見せている。

 そのきっかけとなったのは、アマゾンが提供している、3Gによる通信機能を備えた電子書籍端末「Kindle」だ。Kindleには大きな特徴が2つある。1つ目はPCなどを経由せず直接書籍を購入できるという点。2つ目は一般的な携帯電話のように通信料とコンテンツの料金が別になっているわけではなく、通信料と書籍の料金がセットとなっているという点だ。

 またKindleの電子書籍は、Kindleだけでなく、専用ソフトウェアを用いれば、PCやiPhoneなどでも利用可能だ。書籍数も40万冊を超えており、米国では多大な人気を獲得している。最近は米国外でもKindleの購入が可能で、日本の書籍は販売されていないものの日本から購入して利用することもできる。

 そして、Kindleの競合端末として注目を集めているのがiPadだ。これはアップルが投入したタブレット型のデバイスで、9.7型のディスプレイとiPhone譲りの洗練されたインターフェース、そして無線LANや3Gによるインターネット接続機能を備えているのが特徴だ。米国では4月に発売されたものの、人気の高さから需給が追いつかず、日本をはじめ米国外での販売が延期されるという一幕もあった。

 iPadの場合、iPhoneのようにアプリケーションやゲーム、ビデオなどのコンテンツが楽しめるわけだが、特に日本において注目を集めているのが電子書籍リーダーの「iBooks」である。Kindleのディスプレーがモノクロの電子ペーパーであるのに対し、iPadはカラーであるため、より表現力の高い書籍(コミックや写真集など)が楽しめると期待されている。

 日本でもかつて電子書籍を読むデバイスがいくつか投入されたが、使い勝手や書籍数の問題などから普及には至らなかった。だが、ネットワークと密接に繋がることで使い勝手が向上するなどの理由によって日本でもその動向と市場の立ち上がりに大きな注目が集まっている。

iPadやKindleなどの電子書籍が楽しめるデバイスが米国で人気。日本でもにわかに電子書籍に注目が集まっている(画像クリックで拡大)