ソニーは2009年11月19日、「新しいソニーへの変革」と題した事業方針を発表した。

 ここ数年赤字が続いている液晶テレビ事業およびゲーム事業を2010年度にそれぞれ黒字化するとともに、成長が見込めるネットワークサービス事業では2012年度に3000億円の売上を目標とする。2010年度にゲームに関するネットワークサービス事業の黒字化、2011年度にはネットワークサービス事業全体での黒字化する計画だ。

 主力事業における黒字転換を優先する一方、コンテンツを活用したネットワークビジネスを次代の収益の柱と位置づける戦略。ソニーが自らの特徴を発揮できるであろうネットワーク事業の確立に向けて、本格的な始動を宣言したともとれる。

ハワード・ストリンガー会長兼社長兼CEO(画像クリックで拡大)

 ソニーのハワード・ストリンガー会長兼社長兼CEOは19日の記者発表会で、「ソニーの課題であったサイロが崩れたことで、さらにトランスフォーメーション(変革)を加速できる」と語った。

 製品間の密接な連携が必須であるネットワーク事業の推進には、サイロの崩壊が前提条件となる。いよいよその準備が整ったというわけだ。サイロとは英語では「窓がなく周囲が見えない」という意味の言葉だ。ここから、組織が縦割り構造になっていて各業務部門の活動が連動を欠いていることを表す言葉として使われる。

 サイロが崩れた背景には、2009年4月以降、同社が乗り出した組織再編がベースにある。

 それまで製品ごとに分かれていた組織を液晶テレビやデジタルイメージング(ビデオカメラやデジカメ)などを担当する「コンスーマープロダクツ&デバイスグループ(CPDG)」と、プレイステーション、VAIO、ウォークマンなどのネットワーク型製品を担当する「ネットワークプロダクツ&サービスグループ(NPSG)」、そして、「B2B&ディスク製造」の3つの事業セグメントに再編したのだ。さらに、3つの事業セグメントを横断する組織として、「生産、物流、調達、CSプラットフォーム」「研究開発・共通ソフトウエアプラットフォーム」「グローバルセールス&マーケティングプラットフォーム」を設置した。

 バラバラだった液晶テレビとAV機器のデザインや操作性の統一を図ったり、発売時期を連動させるなど組織再編の効果は少しずつだが見えてきた。横断型プラットフォーム組織の設置によって、CPDG、NPSG、ソニー・エリクソンによる共同購買による調達の最適化、開発のスリム化で、既に2008年度比20%減となる約5000億円のコスト削減を達成した。

19日の経営方針説明会にはストリンガー会長ら幹部が参加した(画像クリックで拡大)