音楽の基調である低域をしっかりとした安定感で再現する

 スピーカーでも、価格の安い製品は安いなりの音ですが、ハイエンド製品になると音の質がガラリと変わってきます。普及型スピーカーも音の情報は伝えるのですが、それに付随する音の感情というか、ニュアンス、空気感まではなかなか出てこないんです。

 それがある価格帯以上になると微細なところまで表現できるようになり、音域もよりワイドレンジになってスピード感が出てきます。品格が加わるといったらよいでしょうか。オーディオ的な良さや音楽的な良さというのが、あるレンジ以上のスピーカーになると表現できるようになってくるのです。

 ヘッドホンにもスピーカーと同じようなことが言えます。低価格のインナーイヤーヘッドホンではベーシックな音しか出ません。ダイアフラム(スピーカーの振動板)の直径がすごく小さいため、帯域もバランスとしてはどうしても中高域が強めになります。しかし、しっかりとした密閉型などの高級なヘッドホンでは、大口径がマウントでき、音域がとても広くなってくるのです。

 その中でも、特に違うのが低域ですね。ミニスピーカーとフロア型スピーカーの違いくらいにその差が開きます。

 音楽できわめて重要なのは低域ですよ。低域こそが音楽の基調であって、中域はエッセンス、高域は味付けです。小さなヘッドホンは音楽の基調帯域が薄いので、中空に浮いたような感じで音を聞くしかない。それが大型のヘッドホンだと、高域から低域まで「ピラミッド」的な安定した構成力があるのです。

edition8の素晴らしさは「S-LOGIC」技術にあり

 このヘッドホンの素晴らしさについて、技術的な要因を探ると「S-LOGIC」という技術に導かれます。

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 通常のヘッドホンは鼓膜へと直接に音を伝えるために、ドライバーが真ん中に置かれていますが、ULTRASONEのヘッドホンはドライバーが耳より若干前にくるようにレイアウトされています。それはなぜか。通常の音聴取と同じスタイルで、ドライバーからの音を聴くためです。本来、音はいったん外耳に反射されてから、鼓膜に入る部分があります。つまり鼓膜へのダイレクトな音の伝播に加え、外耳の反射音も加わり、そのトータルで自然な音となっているのですね。

 外耳において、どのように形で反射されるかによっても、音の聞こえ方が違います。人の外耳の形は人それぞれで違います。ということは、実際には、人それぞれ違った聞こえ方をしているということになります。

 ULTRASONEのこの製品の音の良さの一因は、こうした人の音を聴くための耳の仕組みに沿った構造を仕込んだことです。ドライバーからは外耳に向けて音が発せられ、外耳にいったん反射させて鼓膜に到達させます。そうすれば、千差万別の個人の外耳形に完璧に合致した反射音が獲られるという算段なのですね。ヘッドホンとしては比較的、自然な音場感が得られるのは、そんな構造に拠っているのです。このレイアウトにはS-LOGICという名称が与えられています。