音楽グループ「パール兄弟」での活動をはじめ、作詞家、エッセイスト、プロデューサーなど、音楽業界に深く関わってきたサエキけんぞう氏。本コラムでは、同氏が音楽業界のトレンドを解説する。

 CDセールス不振が長らく続き、ライブおよびコンサートビジネスも、2006年をピークに微少ながら減少傾向にある。たとえば、ぴあ総研によれば、音楽コンサート市場の動員数は2007年実績で2365万人(対前年比2.9%減)、市場規模1440 億円(対前年比5.1%減)で、2008年も横ばいではないかと言われている。しかし、その一方で、ライブDVDの売れ行きが好調だ。  ライブおよびコンサートビジネスの今後はどうなるのか。

「生の感覚」をパッケージにフィードバック

 CDパッケージ売り上げの退潮とともに、この数年はライブおよびコンサートの隆盛が話題に上ることが多かった。洋楽アーティストの来日コンサートは、よほどの大物が来ない限り、それほど観客動員できなかったものの、邦楽中心のロックフェスティバルや、大規模会場で行われる音楽イベントは、満員御礼とまではいかなくても、盛り上がりを見せた。

 しかし、2006年をピークに、ライブハウス離れが目に付きだし、ロック系のバンドのライブは、一時ほどの動員力はないとも聞く。ところがアキバ系地下アイドルたちや、先日も紹介した水樹奈々のような声優系、アニメ系のコンサートは活況を呈している。また、先ごろ発表されたように、東方神起は東京ドーム公演が決まっているし、KAT-TUNの7日間連続東京ドーム公演のチケットは44万枚が完売するなど、確実にパイを広げているジャンルもあるのだ。

 そうしたコンサートに足を運ぶリスナーたちの音楽環境としては、デジタルオーディオプレイヤーがメイン、つまりPCがかなりのウェイトを占めていることだろう。しかしそうだからこそ、PAシステムから得られる迫力のある音楽環境を、生の感覚を無意識で求める傾向が生まれているのかもしれない。

 ここにきて、そうした「生の感覚」を今度はパッケージとして、フィードバックしようという動きがにわかに活気を帯びてきた。ライブ音源、ライブ映像をコンテンツとして利用しようというのだ。スタジオ録音コンテンツ=CDの退潮が、ライブコンテンツ=ライブDVDの活況を生んだともいえる現象である。