"ちょんまげブーム"の仕掛け人でテレビコラムニストとして著名なペリー荻野と、ファッションの達人で「フントニモー」が決めゼリフのいであつしが、連ドラの衣装に物申す!
第16回は『侍戦隊シンケンジャー』から…。

ペリー  そんなわけで、今回は2月にスタートした『侍戦隊シンケンジャー』です。なんてったって、「侍」ですからね。和テイストというよりは、ちょんまげテイストで、私としてはわくわく企画ですよ。
いで  戦隊シリーズってのは、動物系、恐竜系、乗り物系、チャンバラ系と、子どもの好きなものでモチーフが回ってくるからね。チャンバラ系だと『忍者戦隊カクレンジャー』や『忍風戦隊ハリケンジャー』とか忍者なんだけどさ、今回の侍ってぇのは初めてだね。
ペリー  いまやこのシリーズは、イケメン俳優の登竜門(1)になってるでしょ。玉山鉄二は何レンジャーでしたっけ?
いで  百獣戦隊ガオレンジャー』のガオシルバーでしょ。いいポジションなんだよ、シルバーっていう色は。
ペリー  元祖戦隊モノの『秘密戦隊ゴレンジャー』を知ってる我々としては、戦隊メンバーの私服がものすごくおしゃれになったという印象が。
いで  そりゃあもうえらい違いですよ、アータ。昔のヒーローの私服っていうと、たいていサファリジャケツト(2)にラッパのジーパンはいてブーツにハンチング帽だから。
ペリー  …いったい何をイメージしたコーディネートだったんでしょうね?
いで  まぁ強いて言えば『ちい散歩』の地井武男かな。ていうか、戦隊シリーズで今回のシンケンジャーみたいに変身前にみんな私服っていうのは珍しいんだよ。たいてい普段着も制服とか着ていて、ずっとおんなじ服で1年乗り切るってのが多いから。
ペリー  で、今年の5人のファッションはどうなんです?
いで  男子に関して言えば、レッドはフードの付いたダウンベストとか着て、ちなみに色は赤だし、ブルーはチルデンセーター(3)クレリックシャツ(4)とか着てるし、グリーンはスカジャンにカーゴパンツ(5)をはいて腰からリボンベルトなんか垂らしてんだよ。
ペリー  女子は現実主義のピンクがチュニック系(6)、イエローはショートパンツにハイソックスで、ちょっとメルヘン入ってますね。
いで  みんな細身のモダナイズドな、いまどきのカジュアルファツションなんだよ。ブランドうんぬんよりも、よく通販のカタログで見る服と格好なんだけどさぁ、足が長いし、スタイルがいいから、結局何着てもカッコいいってことだね。グヤジイ。
ペリー  私は彼らが変身した姿に驚きましたね。赤・青・黄・緑・ピンクのヒーローコスチュームになると、それぞれ顔面いっぱいに「火」「水」「土」「木」「天」と漢字が書かれてる。デザインとして漢字のインパクトはなかなかですよ。顔面火!! 渇っ!!
いで  で、「成敗!」だからね。でも、やっぱりペリーさんがいちばん気になってるのは、伊吹吾郎(7)でしょう~。
ペリー  よくぞ話を振ってくれました!! 今回、伊吹吾郎は、シンケンジャーの頭目で「殿」と呼ばれるシンケンレッドの家臣のじいで、初回いきなり「控えおろう!」と言ってましたからね。
いで  昔はじいじゃなくて格さんだったから。いつも袴姿で、「殿と遊園地に行きましたね…」とか言って、幼い殿の回想シーンでは袴で遊園地を走り回ってたぞ。
ペリー  ホントの「侍」は伊吹吾郎。

今月のファッション・チェックは
『侍戦隊シンケンジャー』

三途の川からやって来る化け物「外道衆」を退治するべく集結した5人の「侍」たちの活躍を描く、スーパー戦隊シリーズの第33作。親から子へと代々受け継がれてきた不思議なパワー“モヂカラ”を備える志葉家の当主と4人の家臣が、人間を苦しめようとする外道衆たちを相手に戦う。(日曜7時30分/テレビ朝日系)
http://www.tv-asahi.co.jp/shinken/

(1)イケメン俳優の登竜門…テレビ朝日系、日曜朝7時30分からの「スーパー戦隊シリーズ」と8時からの「仮面ライダーシリーズ」は「スーパーヒーロータイム」と呼ばれ、数多くのイケメン俳優を輩出している。主なところでは、要潤(仮面ライダーアギト)、水嶋ヒロ(仮面ライダーカブト)など。

(2)サファリジャケツト…本来は、狩猟旅行のときに着用するベルト付きのジャケット。名前の由来は、スワヒリ語で旅行を意味する「safari」から。

(3)チルデンセーター…襟や袖口に色糸の縞を配した白いVネックセーターのこと。1920~30年代に活躍した米国のテニスプレイヤー、ウイリアム・チルデンが愛用したのが由来。元々は英国伝統のスポーツ、クリケットの選手たちが着用していたため、クリケットセーターとも呼ばれる。

(4)クレリックシャツ…色無地や縦ストライプの身ごろと袖に、白い襟が付いたシャツ。1920年代にロンドン紳士たちの間で流行した。

(5)カーゴパンツ…貨物船のクルーたちがはいていた、厚手の作業用パンツのこと。両脚の部分にある大型のアコーディオン・ポケットが特徴。「カーゴ(cargo)」は積荷の意味。

(6)チュニック系…緩やかな短めのワンピースをメインにした“ゆるカワ”ファッションを指す。チュニックの起源は、古代ギリシャ・ローマや中世の東ローマ帝国で用いられていた「トゥニカ」(tunica)だとか。

(7)伊吹吾郎…1946年生まれの俳優。TBSテレビ系の『水戸黄門』には、1983年の第14部から2000年の第28部まで17年間、“格さん”こと渥美格之進役でレギュラー出演していた。趣味はフラメンコギターで、『侍戦隊シンケンジャー』のエンディングにも演奏シーンが使われている。

ペリー荻野さんの新刊情報!

西岡善信、構成=ペリー荻野(1200円/NHK出版)

『紋二郎も鬼平も犬神家もこうしてできた』

『木枯し紋次郎』や『鬼平犯科帳』といった傑作時代劇、勝新太郎の代表作『座頭市』、市川昆の元祖『犬神家の一族』、夏目雅子主演の『鬼龍院花子の生涯』など、歴代のそうそうたる名作に携わった世界的な美術監督、西岡善信。これら傑作ドラマはどのようにして作られたのか、臨場感あふれる撮影現場の舞台裏に迫ります! 『木枯し紋次郎』の俳優・中村敦夫氏との対談も収録。

著 者

ペリー荻野(ぺりー おぎの)

西条 昇

1962年愛知県生まれ。コラムニスト&時代劇評論家。大学在学中にラジオのパーソナリティ兼原稿書きでデビュー。現在の連載は『読売新聞(日曜版)』『中日新聞』『週刊ポスト』『ESSE』『e2 by スカパー!』ほか多数。CD『ちょんまーじゅ』の監修を勤めるなど、時代劇ブームの仕掛け人としても有名。

著 者

いであつし

西条 昇

1961年静岡県生まれ。コピーライター、『ポパイ』編集部を経て、『テレビブロス』などでコラムニストに。ファッション、テレビ、グルメなどを中心に執筆を続ける。最近感動した食べ物は、皇室の引き出物にもなるという京都の老舗緑寿庵清水の「金平糖」。現在、『ビギン』『メンズEX』等で連載中。