ソニーの最新ハイビジョンビデオカメラ「ハイビジョンハンディカム HDR-XR500V/520V」の特徴は、なんと言っても「暗いシーンの撮影に強い」という点にある。レビュー(画質編機能編)で分かるように、室内や夜景の撮影では最強といっていいだろう。この大きなブレイクスルーを実現しているのが、新開発の裏面照射CMOSセンサー「“Exmor R”CMOS」である。画期的とも言えるこの裏面照射CMOSセンサーはどのように開発され、これからのトレンドをどのように変えるのか。ソニー半導体事業本部のイメージセンサー開発陣にインタビューしてみよう。

ソニーが2009年2月20日に発売した「ハイビジョンハンディカム HDR-XR520V」(画像クリックで拡大)

HDR-XR500V/520Vに搭載している裏面照射型CMOS「“Exmor R”CMOSセンサー」(画像クリックで拡大)

HDR-XR520Vの「通常モード」で撮った夜景。映画館の壁などに黒つぶれがなく、階調感が確保されている。花屋の奥のシャドウ部に色ノイズが目立たず、しっとりとした滑らかな夜の空気を表現できている。増感モードにしなくても、通常モードでここまで撮れる点が画期的で、裏面照射CMOSの高感度さを実感できる(画像クリックで拡大)

増田: 実際に撮ってみると、暗さに強い裏面照射CMOSのメリットを実感できました。まず、裏面照射CMOSを開発したモチーフをお聞かせください。

平山氏: 当社は以前からイメージセンサーの開発と生産を手がけております。1990年代後半には従来のCCDに加え、携帯電話用にCMOSセンサーを開発しました。CMOSセンサーは消費電力が小さくて高速駆動できるというメリットがあるのですが、CCDのように感度を上げらないので、画質面ではCCDに負けていたのが実情でした。裏面照射CMOSは、CCDを上回る高感度のCMOSを作りたいということで2003年に開発をスタートさせました。

松井氏: 当社はCCDの開発では先行していたものの、当時のCMOSでは後発となっていました。巻き返すためには画期的なCMOSを開発したいという思いで開発を始めました。CMOSの高速性はCCDに比べると絶対的に優位で、2次元の撮像に加えて、高速度撮影にも応用が利くなど、新しい可能性を秘めたデバイスと言えます。ハイビジョンのような高解像度の動画撮影にも簡単に対応できます。感度さえ確保できれば、より大きな可能性が開けると考えたのです。感度とS/N(信号内におけるノイズ比)とダイナミックレンジ(暗部から明部まで再現できる範囲)でCCD並み、しかもCCDよりはるかに高速駆動できるCMOSを目標として開発に着手しました。

ソニー 半導体事業本部 セミコンダクタテクノロジー開発部門 副部門長の平山照峰氏(画像クリックで拡大)

ソニー 半導体事業本部 イメージセンサ事業部 副事業部長 兼 第1商品部 統括部長の松井拓道氏(画像クリックで拡大)