現在49歳の熱血漢

 「恵方巻」の生みの親、セブン-イレブン・ジャパン執行役員、野田靜眞(のだ・しずま)さんは、現在49歳。肩書きは、執行役員第2オペレーション部長。西日本地区のセブン-イレブン店舗をすべて束ねる現場責任者だ。40代で執行役員は出世頭だろう。まわりの評判を聞くと、「熱血漢」「体育会系」「熱いものを持っていながらリーダシップもある」「ナイスガイ」「チャレンジャー」と、まさに仕掛け人にふさわしい人物であることがうかがえる。

 恵方巻を仕掛けた20年前、1989年は、まだ29歳だった。

 当時、広島市にある加盟店7~8店舗を担当するOFC(オペレーション・フィールド・カウンセラー)だった。OFCとは、加盟店を巡回しながら、商品知識や品揃え、店舗運営全般に関する経営のアドバイスをする仕事だ。店と本部をつなぐエージェント的な存在であり、加盟店オーナーと一緒になって売り上げを伸ばして利益を上げるよう努力する。人当たりが良くなくては務まらないし、提案力や発想力が求められる。

 ある時、九州男児の野田さんは、加盟店オーナーとの会話の中で、「大阪には節分に恵方巻を食べる風習がある」と知った。初耳だった。がしかし、その瞬間、ピンッと来た。

 「仕掛けてみよう!」

 まだ地方のコンビニ草創期ともいえる当時、お客さんとのコミュニケーションを大切にするフレンドリーサービスを強化しようとしていた時期だった。「恵方巻」をきっかけに、お客さんとどんどん会話をしようと考えた。同時に、加盟店オーナーを盛り上げるイベントにもなる。売り上げも伸びれば、一石二鳥だ。

 商品本部には、「切れてない太巻き」と説明して発注した。まだ「恵方巻」という商品名があったわけではない。店頭では「切れてない太巻き」を、「恵方巻という風習があるんですけど、ご存じですか? 今年の恵方は~」と声をかけて売った。

 狙いは当たった。加盟店オーナー達は喜んだ。