朝、目がさめると、そこは江戸の町だった。

 髷(まげ)を結ったお侍(さむらい)さんが街道をゆき、飛脚が競って走っている。あたりの風景からすると日本橋界隈のようだ。橋の上を無粋な高速道路が覆いかぶさっていないのが、やけに新鮮だ。空が広い。

 相撲の番付(ばんづけ)のようなものを配っていたので好奇心で受け取った。見るとそれは、江戸の町で評判の一流高級料理店のランキング表らしい。タイトルは「即席会席 御料理」とある。東西大関を筆頭に、関脇、小結、前頭とつづいていて、数えると全部で183軒がリストアップされている。そういえば日本初上陸の『ミシュランガイド東京2008』は全部で150軒、2年目の『2009年版』でも173軒だったことを考えると、江戸の町のグルメガイドはそれよりも掲載店数が多いことに驚かされる。

タイトル 発行年 掲載店数
即席会席 御料理 1859(安政6) 183
ミシュランガイド東京2008 2007(平成19) 150
ミシュランガイド東京2009 2008(平成20) 173

 よく見ると番付には「安政六」と年号が記されている。西暦にすると1859年。どうやらちょうど150年前にタイムスリップしてしまったようだ。

 ちょうどいい。せっかくだから一軒、寄ってみることにしよう!

ひと呼んで“大江戸ミシュラン!”
「即席会席 御料理」番付(安政6年=1859年刊)[複写/都立中央図書館蔵](画像クリックで拡大)