何かと横文字やローマ字を羅列したキーワードが多いICT業界だが、その中で読者の皆さんにも身近と言えるケータイに関連するホットなキーワード、「MVNO」について解説しよう。

 ケータイサービスといえば、NTTドコモやau、ソフトバンクモバイル、ウィルコム、イー・モバイルといった「通信事業者」を想像するに違いない。これら通信事業者と回線契約を締結した上で、ケータイサービスを利用しているはずだ。通信事業者は、ユーザーにサービスを使ってもらうために、全国あまねく通信設備(携帯電話基地局や交換機などのネットワーク設備)を建設し、事業を行う必要がある。設備が不十分だと「電波が入らない」だとか「回線が混雑している」といったサービス面での不都合が増えることになる。

 とはいえ、この通信設備の整備にはとてつもない資金が必要だ。たとえば、ケータイサービスを利用するには、ケータイ端末と通信を行う「基地局」が整備されている必要がある。基地局は、都心部ではビルの屋上などに巨大なアンテナを多数見かけるし、郊外に行けば鉄塔を建て、そこにアンテナ等が整備されている。私たちの目に見える「アンテナ」以外にも、基地局装置(中継機、交換機等)や無停電装置(蓄電池設備)などを併設する必要がある。これら設備を設置するのに、土地の借用料を含め1局あたり数千万円規模の設備投資が必要である。

 そして、この1局の基地局がカバーできる通信エリアは半径数キロ程度。都心部では混雑を避けるため、さらに密に基地局を配置する必要がある。そんなわけで例えばNTTドコモのFOMAだけでも、4万局以上の基地局設備を全国に網羅しているといわれている。基地局だけで一体どれほどの資金が必要になるか、ご想像いただけただろうか。

 ようするにケータイサービスを提供したいと考え、事業参入するにはとてつもない資金が必要になるということだ。(もちろん電波の割り当ても必要な許認可事業なので、そう簡単に参入できる産業ではないのだ)

 既存の通信事業者にとどまらず、もっとユニークなサービスでユーザーを魅了する様々なケータイサービスが登場し、通信事業者間で競争してくれたら、もっと私たちの生活もより彩があるものになるだろう。何とか、気軽に通信事業者になってケータイサービスを提供できないものだろうか?

 実はその方法が無いわけではない。莫大な資金が必要になる設備投資をせずに、通信事業に参入し、独自のケータイサービスを提供する方法があるのだ。それが「MVNO」である。