「シネマ最前線」は日経エンタテインメント!誌がお届けする映画界のトレンド&マーケティング情報です。今週の映画興行成績と、週末公開される話題作について、隔週金曜日に掲載します。

 ハリウッドの大手映画会社がまた1社、日本映画の制作・配給に乗り出す。20世紀フォックス(FOX)は、同社が2004年に制作した映画「サイドウェイ」を日本人キャストでフジテレビと共同でリメイク(再映画化)すると発表した。制作はフジテレビ、配給宣伝はFOXが担当する。

 この作品は、米アカデミー賞で作品、監督、助演男優、助演女優、脚色の5部門にノミネートされ、脚色賞を受賞した秀作ドラマ。ワイン好きで小説家志望の国語教師が、結婚を1週間後に控えた売れない俳優の友人と共に、カリフォルニアのワイナリーを回る旅を通して自身を見つめ直す。リメイク版は「サイドウェイズ」とタイトルを変え、小日向文世、生瀬勝久、菊地凛子、鈴木京香が出演する。舞台はオリジナル版と同じカリフォルニア。監督のチェリン・グラックをはじめ、スタッフは米国人が中心で、ハリウッド流の撮影法で制作にあたる。

サイドウェイズ

(C)2009 Fuji Television/20th Century Fox(画像クリックで拡大)

 日本映画の制作・配給に乗り出す狙いをFOXの日本代表ジェシー・リー氏はこう語る。「世界の映画マーケットを米国と米国外に分けると、今伸びているのが米国外。だが、米国映画は商業的すぎて、(日本をはじめ米国外で)受けない作品もある。そこで、商業性とクオリティーのバランスをとりながら、日本で受け入れられる作品を作っていきたい」。

フジテレビの狙いは?

 三谷幸喜監督の「ザ・マジックアワー」や、福山雅治主演の「容疑者Xの献身」など、今年もヒット作を連発しているフジテレビ。派手な話題作が多いフジ制作映画のなかで、「サイドウェイズ」は主役の男優2人が小日向文世と生瀬勝久で地味な印象を与える。

 この理由をフジテレビの亀山千広・映画事業局長は「テレビ局が制作する映画は、大人から子供まで幅広い層を取り込むことを狙って作る。これをファーストラインとすれば、大人向けの映画を作るセカンドラインがあってもいいのではないかと考えていた。2年前に『サイドウェイ』を見て、これを日本人キャストでリメイクできれば大人向けにピッタリだと思った」と語る。

 その後、FOX側と2年間の交渉を経て、リメイクへとこぎつけた。日本映画をハリウッドがリメイクするケースは多いが、「サイドウェイズ」のようにハリウッド映画を日本でリメイクする画期的なケースとなった。「地味な作品だが、仕組みは新しいし、派手だと思う。日本からハリウッドへ入るのは難しいが、『サイドウェイズ』をきっかけに、次のステップに踏み出したい」

(亀山局長)