パナソニックのBDレコーダー「ブルーレイDIGA BW730/BW830/BW930」の最大の特徴として、“進化した録画画質”が挙げられる。各方面でその評価は高く、実際に視聴してみると、低レートのAVC記録がクオリティーアップしているのを実感できる。率直に言って、低レートのAVC記録には期待していなかったのだが、本機の低レート録画は十分に使い物になるレベルにまで進化しているのだ。今回は、システムLSI「UniPhier」(ユニフィエ)の強みを生かした高画質化&高音質化の秘密をDIGA開発陣に聞いてみよう。

エンコーダーの見直しで根本的な画質改善を図る

パナソニック AVCネットワークス社 ビデオビジネスユニット 商品技術グループ 主幹技師 甲野和彦氏(画像クリックで拡大)

増田: 画質と音質について、まず“記録系”からお聞きしたいと思います。私は「一度限りの放送を高画質で記録する」という意味において、レコーダーの心臓部は再生回路ではなく、録画記録を受け持つAVC(MPEG-4 AVC/H.264)エンコーダーにあると考えております。そうした点からすると、AVC記録が全体的に高画質化されている点が、本質的な改良でいいと思いました。特に今回新設された長時間HL(4.3Mbps)モードは、低レート記録でありながら、モスキートノイズなどが目立たないフルハイビジョン記録を実現していて、これはかなり使えるモードだと感じました。AVCエンコーダーに手を加えているのでしょうか?

甲野氏: AVCエンコードもシステムLSI「UniPhier」で行っており、今回はそのアルゴリズムを一新しました。AVC記録は長時間の録画競争になりがちですが、画質を度外視すれば、いくらでもレートを下げて長時間化できます。しかし「まず画質ありき」で、実用にならないと意味がありません。そこで「使える長時間モードを作ろう」と考え、AVCエンコーダーのアルゴリズムを大きく見直しました。まず画質を良くして、その余力でレートを下げるという発想です。

新「ブルーレイDIGA」の映像処理プロセス図。MPEG-4 AVCエンコーダーや、色処理を行う「新リアル・クロマプロセッサ」、ハイビジョン映像信号の最適化処理を行う「HDオプティマイザー」やアップスケーリング処理、DeepColorやx.v.Colorなどの処理をすべてパナソニックが開発したシステムLSI「UniPhier(ユニフィエ)」で行っている(画像クリックで拡大)

増田: 具体的にAVCエンコーダーのどのような部分を改良したのでしょうか。

甲野氏: 一般的に言って、解像度アップとノイズ除去は相反するのですが、新モデルでは動きの多さとの相関関係を見てH.264エンコードを行います。動きが少ないシーンだと解像度重視、動きの多いシーンではS/N(低ノイズ)重視にエンコードするように変更しています。

 従来機種では高レートのモードでは解像度重視、低レートのモードではS/N重視に割り切っていました。今回は低レートモードでも、シーンによって解像度重視とS/N重視のエンコードをきめ細かく使い分けるように変更しています。この見直しによって、5.5倍(AVCRECのDVDに約2時間10分録画)の長時間HLモードでも、解像度アップとS/Nの良さを両立し、長時間かつ高品位なフルハイビジョン(AVCハイプロファイル)記録を実現できました。

新しいアドバンストMPEG-4 AVCエンコーダーでは、映像の動きに応じてエンコード時のパラメーター制御を行っている(画像クリックで拡大)